ユニバーサル行動規範UCoC/よくある質問

This page is a translated version of the page Universal Code of Conduct/FAQ and the translation is 100% complete.
ユニバーサル行動規範

聞き取り調査

1. UCoCは、他の運動戦略の取り組みや話し合い、例えば運動憲章に対して、どのように関連しますか?
UCoCはウィキメディア2030のコミュニティでの会話と戦略から現れた重要な構想です。

運動戦略での話し合いから生まれた3番目の推奨事項は、コミュニティ内部に安全性と包括を提供することであり、行動規範の作成は、この推奨事項における最優先の構想であると評価されました。 私たちは、ユニバーサル行動規範の意見聞き取りと並行して、運動憲章といった他の運動戦略の構想に関するグローバルな意見聞き取りを進めています。

2.聞き取り調査を行うローカルな言語コミュニティの選択基準
私たちは、第1フェーズの聞き取り調査のためのローカル言語版コミュニティを、発展の度合いやローカルの行動方針の状況を含む、いくつかの要素に基づいて選びました。第1フェーズの詳細はこちらをご覧ください。私たちはまた、実際的に、その言語を話す能力のあるファシリテーターが確保できるかどうかも考えに入れました。
第2フェーズでは、第1フェーズと同様、たくさんの要素を参考に聞き取り対象コミュニティを選びました。第一の要素はさまざまな言語のウィキメディア・プロジェクトの、既存のローカル方針の執行機構についてのデータでした。ファシリテーター(進行役)は、多様な視点を取り入れるため、執行のレベルにばらつきがあるさまざまなコミュニティを代表するよう選ばれました。適任者の存在有無や、地理的に広い範囲をカバーしたいという希望も要因となっています。
3.ウィキメディア財団は、ユニバーサルな行動規範(UCoC)がウィキメディアのあらゆるプロジェクトや空間に対して適用されると知らせましたか?
はい、しました。UCoCは利用規約に組み込まれる予定であり、どの個別コミュニティもこのグローバルな方針を拒むことはできません。もし既存のローカルの方針や慣習がUCoCに反すると思われる場合は、矛盾点を検証し解決するため、その懸念を過程の早期に表明する必要があります。2021年2月2日、理事会はUCoCをウィキメディア運動におけるすべてのプロジェクトや活動に適用される方針として正式に承認しました。また、この適用範囲は、第1フェーズの方針を起草するための聞き取り調査の開始時期から明らかにしており、メタとウィキメディア・メーリングリストの双方はじめ多くのプロジェクトで告知しました。小規模ならびに中規模ウィキ群に対する告知の一覧はこちらのページをご参照ください。大規模なオンウィキ聞き取り調査の詳細は こちらをご覧ください。

翻訳

4. どのような言語でも、UCoC ならびにその関連の文書を入手できますか?
UCoCプロジェクトチームはすべての主な文書と発表を、できるだけ多くの言語に翻訳するよう、企業やボランティア翻訳を組み合わせながら取り組む予定です。これは時間を要する大きな努力であり、私たち(訳注=財団)単体では達成できません。文書の翻訳を引き受けても良いというボランティアの方、または新しい(訳注=未訳の)言語に翻訳してほしいと要望をお持ちの方は、メールにて ucocproject wikimedia.org 宛てにご連絡ください。すべての文書をすべての言語に翻訳することは不可能でも、私たちは、言語を超えた UCoC 過程への参加を可能にするため真摯に取り組みます。
5. 翻訳の不一致もしくは解釈の衝突が発生した場合、どの言語版の草稿を正文と見なすのか?
UCoCチームはこれまでUCoC方針や施行ガイドライン、その関連ページをできるだけ多くの言語に翻訳し、公開しようとしてきました。しかしながら、翻訳は不完全であり、また翻訳を完了するためにさまざまな戦略(有償機関、ボランティア、職員その他)を採用しましたが、それぞれに翻訳精度の課題を抱えています。私たちはコミュニティに、私たちが文書の間の矛盾を発見・訂正する手助けをするように奨励します。あわせて、矛盾の修正には時間がかかることを理解ください。その過程が完了するまで、英語版を正文とします。

執行

6. UCoC施行はどういう計画で進めるのですか、たとえば誰が執行の責任者ですか? 
財団理事会(以下理事会またはBoT)の指示によると、理事会がUCoC最終草稿を承認し、2021年2月2日に発表した後に開始された、プロジェクト第2フェーズの焦点こそが執行です。

これはすなわちウィキメディアのコミュニティ群はローカルのレベルでどのようにUCoCを適用し、解釈し、執行するかを決定しなければならないということです。 私たちは、影響を受けるすべての集団とコミュニティに対し、積極的に議論に参加して、すでにコミュニティに存在している慣行、方針、手続きとの互換性をさがすよう推奨します。 最終的には、UCoCならびにその執行戦略の趣旨は運動全体の基本線として役立つことだと私たちは考えています。 さらに私たちは、個々のプロジェクトのコミュニティに、この努力に加えて、自分たち自身のふるまいの基準を発展させるよう奨励します。

7. UCoC 違反の現実的な対処ですが、例えば財団もしくはウィキメディア提携団体主催のイベントでは友好的であるべき場の方針が適用されるのですが、その場合は? ふたつの方針のどちらが優先するのですか?
UCoC はあくまでも最低限のガイドライン一式を提供するものであり、まず第一に、常にローカルの方針を参照し、また、ローカルの実状に当てはまる方針を作成すべきです。これは、あらゆるウィキメディアのプロジェクトでの言動と同様、イベントにおいても該当します。UCoC とは、ローカルの方針もしくは執行の仕組みがその時点の問題に対処するには充分ではない場合に限定して用いるためにあります。
8. UCoC 違反を非公開で通報した場合、ウィキメディアのコミュニティにおける自由で透明性のある文化(たとえばページ変更履歴が全員に可視化されているなど)に反しませんか?
既存の事例として通報が非公開で受理される理由はさまざまです。たとえば個人特定情報の開示あるいは秘匿、危害の恐れ、そのほか繊細な問題が要求されるためです。そのような通報が常時、トラスト&セーフティ(信頼安全)チーム/法務部門、スチュワード、チェックユーザー、オーバーサイト、裁定委員会その他の役務者に宛てて提出されています。嫌がらせ行為を公開の場に通報することに対し、難色を示した参加者はかなりの数にのぼります。通報を引き金にさらに嫌がらせが加わるのを恐れたからです。第2フェーズでは、重要な考察として透明性と嫌がらせ行為の被害者の保護義務とのバランスを探ることになりました。
9. UCoC執行に責任を負う人たちに対して、財団はどのような支援を行うつもりですか?
財団は、UCoC進展のすべての段階を支えるべく真剣に取り組みます。方針の草案作り、執行についての聞き取り調査、さらに執行課程がうまく機能するか確かめます。財団はすでに、UCoCの確実な執行が成功するように、いくつかの段階を踏んできました。これにはUCoCの執行に責任をとるであろう立場に支援を提供することも含まれます。一例として財団のコミュニティ開発チームはオンライン研修プログラムのパイロット版を立ち上げました。私たちは、第2フェーズの聞き取り調査を通じて、コミュニティのニーズをより深く理解することで、支援のうちどれを優先するか、さらに理解できるでしょう。

定期的な見直し

10.UCoC がつくられたのち、定期的な見直しや改訂はされますか? もし実施するなら、その実行責任は誰が担うのですか?
はい。財団の法務部門は、執行ガイドラインの承認から1年後にUCoCおよび執行ガイドラインの再検討を主催する必要があります。その後の検討は、たとえば運動戦略の過程によって推奨された新興の統治組織が進めるかもしれません。
11. 将来的に緊急に変更の必要が発生したら方針の見直しは誰がするのですか?
財団の他の方針と同様に、緊急に変更の必要が発生した場合、財団の法務部に提出してください。法務部は過去にコミュニティ主導の修正協議(例えば、2014 利用規約/有償投稿に関する修正)を主導しました。法務部には、こうした状況を調整する仕組みと手続きがあります。

ローカルでの方針と矛盾する場合

12. ローカルの方針が UCoC と衝突する場合の措置は?
理事会がUCoCに賛成した後、ウィキメディアのすべてのコミュニティは、それぞれの方針を見直して(訳注=ローカルに)既存の方針がUCoCの期待するところに応えているかどうか確認するよう奨励されます。各コミュニティはUCoCを上回る精巧な方針を作成できますが、ローカルの方針はUCoCが設定した基本的な基準を下回ってはなりません。必要であれば、コミュニティと財団は方針が調和するまで協力して作業する必要があります。財団は、プロジェクトが完了するまで支援を提供する予定です。
13.プロジェクトに既にローカルの方針や指針があっても、UCoC は適用されるのですか?
UCoCは、運動全体のもっとも基本的な行動基準を制定することが目的です。プロジェクトで、よく考えられた方針はたいてい、UCoCの期待に応えているか、それを上回っており、一般的に、グローバル方針を遵守するためにローカル方針に多くの変更を加える必要はないと考えられます。
14. どのウィキメディアプロジェクトにも、そのプロジェクトの利用者が自分たちのニーズに基づいて書いた固有の行動方針とガイドラインがあります。UCoC は既存の方針やガイドラインを変えさせるのですか?
UCoC の趣旨は既存の、有効な行動規準を置き換えることではありません。むしろ、UCoC はすべてのプロジェクトにおいて基本の規準となり、中でも行動の規準がごく少ししかない、もしくは皆無のプロジェクトでそうなる必要があります。各コミュニティは独自の文化的規範により適した規準を作るため、あるいは既存のガイドラインを進展させるため、必要に応じて UCoC を利用してください。
15. もし UCoC が私たちのコミュニティのニーズと 100% は合致しない場合はどうしますか?
UCoC はコミュニティのすべてのニーズには対応できないでしょう。さらにまた、UCoC は将来的に発展する可能性が高いです。私たちはコミュニティに、UCoCを下敷きに、独自の方針を定めるよう推奨します。一例として、UCoC は「あなたは、ひとりの編集者としての自分にとって何が最善であるかのみならず、ウィキメディアというコミュニティ全体に焦点を当てるべきです」と言うかもしれません。これではあまりにも範囲が広すぎます。このような場合の対処に関して、ウィキメディアのプロジェクト群の多くにはすでにより詳細な方針が定めてあり、利益相反などがそれにあたります。あなたのプロジェクトにまだ未導入なら、この主題におけるいかなる衝突も UCoCの、そのような文章が拠って立つ規則となり得ます。UCoC はまた、この主題や他の主題に関して、もっと詳しい方針を作れることを思い出すためのツールになるでしょう。
16. UCoCをそれぞれの文化的な背景に適合させる方法はありますか。
UCoC は、あらゆる文化的な背景に適合するわけではないかもしれませんが、草稿の作り手たちは包摂性をできる限り高めるよう努力しています。UCoC チームは実際に独得の文化背景があるコミュニティにアウトリーチして、フィードバックを集めました。草稿委員会ではそれらの情報提供を草稿作りで考慮に入れました。もし草稿にまだ文化格差を発見されたら、ぜひUCoC のメインのトークページにてご指摘ください。

利用規約との重複

17. 利用規約 (ToU) の第4節に「特定の行動は慎む」として行動の方針を規定してあるにもかかわらず、さらにUCoCを設置する必要はあるのですか ?
ウィキメディアの利用規約第4項には、著作権侵害や有償投稿といった投稿内容のガイドラインとあわせて、利用者の行動のガイドラインの一部がまとめてあります。しかしこれは、総合的なリストではありません。ユニバーサル行動規範は期待される行動をより詳しく述べ、コミュニティが利用規約(ToU)第4項を守るための支援します。
18. なぜ、利用規約の第4節の改訂ではなくわざわざ新規に UCoC を書きつつあるのですか?
利用規約の読みやすさと簡潔さを保つため、いくつかの情報は他の文書に分けています。たとえば、「ライセンスの方針」ならびに「コモンズのライセンスの方針」は利用規約にリンクを置いています。利用規約の承諾はすなわちそれらの文書の承諾をも意味します。ユニバーサル行動規範は分離することで必要に応じて詳細に記述できます。またそれにより運動としての、必要が変化するに従った更新がやりやすくなります。

ウィキメディア財団の役割

19.なぜこの方針にウィキメディア財団(WMF)が関与するのですか?
ウィキメディア財団は理事会の要請を受けてプロセスを支援しています。運動戦略のプロセスでコミュニティの成員が進行させた勧告にしたがい、UCoCはボランティアと職員の両方で構成する委員会が記述しました。
20.UCoC の違反者が出たとして、WMFは〈具体的に〉どんな対策に動くのですか?
ウィキメディア財団はほとんどの違反事項に関与しません。ローカルのコミュニティあるいはグローバルにおける役務者が担当する必要ごあります。現在のところ、利用規約違反は同じ方法で対応されています。実施の厳密な詳細は、理事会によるUCoC承認に続いて決定されます。
21. UCoCは投票の対象か
理事会はUCoCの主要な方針文書を2021年2月に承認し、正式な方針にしました。

UCoCのための執行ガイドラインは2023年承認過程を経る必要があり、2021年4月のウィキメディア・プロジェクト裁定委員会から理事会への公開書簡での過程での要請を反映していなければなりません。

執行 

22. UCoC 執行ガイドラインはどのような内容で構成されていますか?
UCoC 施行ガイドラインは、予防作業(UCoC意識の促進、UCoC研修の推奨など)と対応作業(違反の手続きの詳細、申告された違反の処理、違反申告に対するリソースの提供、違反に対する強制措置の指定など)からなり、その趣旨はコミュニティを横断して公正かつ公平なプロセスを用いてコミュニティの参加者どうしがうまく協調し、誰にとってもいちばん安全な作業環境の提供を支えることにあります。
23. ガイドラインの変更による改訂はどのくらいの頻度ですか?
方針文書とガイドラインの両方に対して、実施から1年以内を含め、定期的な検討を行う予定です。
24. UCoC の監督者は誰ですか?
ユニバーサル行動規範委員会すなわち通称 U4C です。U4C は UCoC 違反/不履行の通報を監視し、追加の精査を行い、適切なところで行動を起こします。U4C は定期的に規範執行の状態を監視し評価し、ときにはコミュニティおよびウィキメディア財団に対して UCoC の適切な改訂を指摘し、検討をうながします。必要に応じて、U4C はウィキメディア財団を補佐して、事件の処理にあたります。U4C は UCoC を改訂できません。財団と提携団体の(訳注=見解の)不一致への対処、UCoC を回避もしくは無視した規約を制定しません。あるいは UCoC ならびにその執行と無関係のいかなるできごとに関しても行動を起こすことはできません。
25. U4C は、たとえば裁定委員会のような他の意思決定機関とどのような関係になるのですか?
U4C は、さらに高位の意思決定機関(たとえば裁定委員会もしくは同等の他の手順を置かないコミュニティ)が存在しない場での最終的な意思決定機関として、あるいは高位の意思決定組織が問題を前進させる場所を意図して立ち上げられました。U4C はまた重度のシステム上の問題で既存の執行組織では取り扱えない場合に意思決定組織として機能します。
26. U4C はどのように組織されますか?
草稿委員会はU4C設立委員会の作成を提唱しています。U4C設立委員会はコミュニティの参加者で構成され、財団と協力してU4C創設へのプロセスを作ります。