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ウィキメディア運動は国際的な社会文化運動であり、無償の知識を全世界にもたらすことを理想とします。ここに述べるウィキメディア運動憲章(以下「憲章」という)はウィキメディア運動構造の価値と原則と政策基盤を規定し、これには無償の知識という理想を共有する既存および新規の実体、さらに意思決定機関のそれぞれの役割と責任を含みます。この憲章の適用範囲は、ウィキメディア運動に関わるすべての人とすべての公的な存在、つまりすべての個人および組織の参加者、運動実体、プロジェクト群、オンラインおよびオフラインの空間とします。

本憲章の趣旨はウィキメディア運動とその価値観を定義し、利害関係者の皆さんがウィキメディア運動の理想をさらに育むような方法で、お互いに協働しやすくすることにあります。以下をご参考ください。

  • 成長と拡大、将来性を捉えた戦略を策定し、今後とも知識を無償で手に入れられるよう創造が続くようにする。
  • 意思決定を導く。
  • 利害関係者の紛争を減らし、相互の調和と建設的な関係性を促す。
  • 寄付者の権利や、ウィキメディア運動を成り立たせ財政的な公利に関心を寄せ、さまざまな実体の権利を擁護する。
  • 帰属意識の向上。

本憲章は改定の節に従い、必要に応じ改定されることがあります。

ウィキメディア運動の原則と価値

ウィキメディア運動の基本は、事実に基づき検証可能な、開かれた包括的な知識共有の取り組みであり、それを実践しています。ウィキメディア運動全域でのあらゆる意思決定は、これらの共有の原則と価値観に依拠して実践し、反映しなければなりません。

これら共通の原則には、ウィキメディア運動の起源にすでに存在してきたもの — 無償かつオープンなライセンス、自己組織化と協働、さらに事実に基づき検証可能な情報 — が含まれ、私たちの未来の発展に欠かせない共通の価値観に及びます。これら原則と価値観では、知識の共有を緊密な協力の取り組みとして認識します。

ウィキメディア運動とは多様な運動でありますが、次に示す「基本となる原則が3つ」が中心にあります。

無償でオープンなライセンス付与

オープン・ライセンスを採用するウィキメディア運動は、文章やメディア、データやソフトウェアなどのあらゆる創作物を、さらなる使用や配布、改善のために共有します。多様なライセンス下に共有された一部の外部コンテンツも、オープン・ライセンスに依拠して使用できます。ウィキメディア運動では無償の知識の領域を広げ、進化する新しい形式の知識を統合し、コンテンツの多様性を高めて、理想を深める取り組みを進めます。

自己組織化と協働

ウィキメディア運動は、分散型主導に基づきます。ボランティアを基盤とするウィキメディア運動は、決定と方針策定の大部分を最も直接のまたは個人および組織の参加実体の可能な限り低い層に委ねます。世界中のオンラインおよびオフラインのコミュニティは、補完性原理に基づき、全般に自分たちで決定を下します。ウィキメディア運動は本憲章の価値の施行と問題解決において、創造性と責任を取ること、協力を奨励します。

事実に基づき検証可能な情報

ウィキメディア運動の内容は、現実を反映しようと目指しています。特筆性や中立性の定義は、ウィキメディア運動のさまざまな部分で異なる場合があるとしても、目標は質の高い知識の提供です。この運動では情報源、相互による査読、合意形成(コンセンサス)を大切にしています。ウィキメディア運動は、いかなる偏見も知識の格差も、誤情報や偽情報も積極的に回避します。

この「3つの基本原則」に加え、この憲章は優れた組織統治の核となる価値観を認識しています。その価値観とは以下のとおりです。

自治権

ウィキメディア運動は独立して活動することを目指し、無償の知識という理想に焦点を合わせて、その理想に導かれ偏見やえこひいきに邪魔されません。ウィキメディア運動は商業主義や政治的、その他の金銭または宣伝など、いかなる形であれその理想が影響を受けて損なわれることを許しません。

公平性

ウィキメディア運動では知識の公平性に関して、多くのコミュニティとその参加者がさまざまな課題に直面していると認識しています。ウィキメディア運動は、これらコミュニティとその参加者が歴史や社会、政治その他の形の知識の不平等を克服できる力をつけるように努めています。ウィキメディア運動は実際的な措置を講じてリソースの割り当てなど、分散型組織統治とコミュニティのエンパワーメントを通じて知識の公平性を促し実現します。

包摂性

ウィキメディアのプロジェクト群は多言語で開発され、多くの地域や文化を反映します。すべての活動は、ウィキメディア運動の参加者が相互に尊重しあう多様性を基本としています。この尊重は安全性と包摂性を支える対策を通じて施行されます。ウィキメディア運動は多様性を備えた共通の空間を提供し、この運動の理想と価値観を共有する人は誰でもそこに参加し協働で制作することができます。この包摂的な空間はさまざまな特別なニーズに対応する支援技術を介し、アクセス性を促進します。

安全性

ウィキメディア運動は、参加者の幸福、安全とプライバシーを最優先します。この運動はオンラインの情報エコシステムにおける安全な環境の確保を目指し、無償の知識への参加に欠かせない多様性や包摂性、公平性や協働を促します。オンラインとオフライン両方の空間で安全性を確保することは、この運動の優先事項です。この優先事項は、包括的な行動規範の施行と強制および、これら活動のサポートに必要な資源の投資によって推進します。

説明責任

ウィキメディア運動は、ウィキメディアのプロジェクト群とウィキメディア運動体の代表するコミュニティのリーダーシップ(leadership)を介して責任を負います。この責任とは、意思決定と対話、公示と活動報告に透明性を持たせること、ならびに配慮の責任の維持を通じて実行されます。

粘り強さ

ウィキメディア運動は革新と実験を通じて発展し、この憲章の価値と原則を尊重し続け、無償の知識のプラットフォームはどのようなものかという理想を絶えず更新します。ウィキメディア運動はその理想を実現する効果的な戦略と実践を追求し、可能な場合はこれらの戦略と実践を意味のある指標に基づく証拠で裏付け、推進します。

個々の貢献者

個々の貢献者はウィキメディア運動の中核です。 貢献者はそれぞれ個人として自主性を持ち、オンラインでもオフラインでも、知識や専門性、時間やエネルギーをウィキメディア運動の理想と活動に提供します。個々の貢献者はコンテンツの作成と管理、管理業務の遂行、ボランティア委員会への参加、イベントの企画運営、ウィキメディア運動内のその他の活動に従事します。

ボランティア

ボランティア活動を行う人は、その活動に対して報酬を受け取らないものの、さまざまな形で表彰や支援を受けることができます。ボランティア参加は、資源へのアクセスその他の障壁によって左右されます。

個々の貢献者やその他のボランティアは、個人の好みに基づいてウィキメディア運動における個人または集団の活動に従事し、可能な時に参加する権限を与えられるべきです。

権限

  • ボランティアは、ウィキメディア運動のウェブサイト類およびいずれかのウィキメディア運動体が主催するオンラインおよび対面のイベントにおいて、嫌がらせから保護される権利(たとえばユニバーサル行動規範(UCoC)、配慮の原則)を有します。
  • プロジェクトやコミュニティへのボランティアの参加は、公平に扱われる権利があります。適切と判断した場合、貢献者と他のボランティアは全員、参加を中断したり中止したりする権利があります。

責務

  • すべての貢献者とその他のボランティアは、貢献およびボランティア活動を行う前に、自己に適用されるウィキメディア運動の方針について理解し、それに従わなければなりません。
  • 貢献者、その他のボランティアは全員、自身の行動に責任を持ち、ウィキメディアのプロジェクト群への貢献に対する説明責任を負う。

ウィキメディアのコミュニティ

ウィキメディア運動コミュニティとは、オンラインとオフラインで貢献し、ウィキメディア運動の理想を構築し推進する人々の集合体です。このようなコミュニティには個人参加者や有給職員、ウィキメディア運動の理想に賛同するパートナー組織の代表者が含まれます。ウィキメディア運動コミュニティの構成要素としてプロジェクトのコミュニティ群、地理的位置単位のコミュニティ群、言語単位のコミュニティ群、技術/開発者コミュニティ群などが含まれ、これらに限定されません。ウィキメディア運動は、そのコミュニティの集団および個人の参加とその作業によって形成され、発展し、維持されます。

ウィキメディア・プロジェクトのコミュニティが個々のプロジェクトに関して保有する方針策定の自治権は、その方針が本憲章およびグローバル方針の枠組みに準拠する必要があります[1]。この自治権により、個人もコミュニティも社会や技術のアプローチを新しく開発したり試したりすることができます。これらコミュニティは開かれ[2]、その組織の統治やプロセス、活動全般に適用するべきであり、そうする事で、ウィキメディア運動の全員がグローバルなコミュニティとして、公正かつ偏見のない方法で協力し合うことが可能になります。ウィキメディアの個々のプロジェクトのほぼすべての決定事項はボランティアの貢献者が扱い、その人は個人や関心を寄せるグループの可能性もあります[3]

権限

  • ウィキメディアのプロジェクト群におけるコミュニティは、それぞれのプロジェクト内でコンテンツの編集権を持ちます。この編集権は、ウィキメディアのプロジェクト群の各ウェブサイトにおける利用規約を含め、グローバル方針の枠組みにより確立します。
  • ウィキメディアのコミュニティはグローバル方針の範囲内で、同方針に準拠した独自の紛争解決および調停プロセスを開発する責任を負います[4]

責務

  • ウィキメディア運動体のコミュニティはそれぞれの活動や組織統治への参加を呼びかけるものとする。グローバルな方針を守り関心を寄せていて十分に時間があり技能を備えている人には、ぜひ参加を呼びかけてください。
  • ウィキメディア運動体のコミュニティは、ウィキメディア運動の理想実現、全般的に健全な組織であり続けるため、公正に統治し公平な政策実行が求められます。
  • ウィキメディア運動のコミュニティにおける方針とガイドラインには、簡単にアクセスし施行できる必要があります。

ウィキメディア運動体

ウィキメディア運動のボランティアとコミュニティは組織を形成し、自らの活動をサポートし調整します。本憲章では、これらの組織を「ウィキメディア運動の主体」と呼び(Wikimedia Movement Bodies)、その内訳はウィキメディア運動の各運動体、ウィキメディア財団ならびにグローバル評議会である。グローバル評議会とウィキメディア財団は最高統治機関であり、それぞれ独自の目的を持ち、その責任を担う。

ウィキメディアのコミュニティ群と運動体は参加障壁を減らすよう努め、貢献者の資源が不足していても、十分な代表権がなくてもウィキメディアのプロジェクト類その他のウィキメディア運動の活動に有意義に参加できるようにするべきです。ウィキメディア運動体は、特定のプロジェクトやコンテンツ領域に関して編集権を持ちません。ウィキメディア運動体はすべて、一緒に活動するウィキメディアのコミュニティ群に関して配慮の責任を負います。

独立した紛争解決方法は、ウィキメディア運動の既存のメカニズムでは解決できない紛争、あるいは関係者が制御不能な理由でそのような決定を処理できない場合に解決するための方法として作成される予定です[5]。この方法がない時は、その責任はウィキメディア財団またはその選ぶ代表者が引き受けます。

ウィキメディア運動体

ウィキメディア運動体とは特定の地理またはテーマの文脈に従い、無償のオープンな知識が豊かになる条件を創出するために組織化されたグループを指します(Wikimedia Movement Organizations)。この組織はウィキメディア運動の理想に沿って運営され、その認証はウィキメディア提携団体、ハブおよびグローバル評議会[6]もしくはその他のグループでそれが任命する委員会の正式承認を受けたものが実施します。

ウィキメディア運動体には4種類あります。

  1. ウィキメディアの国・地域別協会(Chapters)とは提携団体の一種であり、特定の地理的な地域ごとにそれぞれ独立の組織としてウィキメディアのプロジェクト群を支え促進することを趣旨としています。
  2. ウィキメディアのテーマ別組織とは提携団体の独立した組織の一種で、特定のトピックまたは注目の領域でウィキメディアのプロジェクト群を支援し促進するために設立されています。
  3. ウィキメディアの利用者グループ群とは提携団体であり、地域やテーマ別に主催できる単純で柔軟な存在です。
  4. ウィキメディアのハブとは提携団体が地域単位もしくはテーマ単位[7]の支援を目指して設立されています。

ウィキメディア運動コミュニティが活動や協力的な取り組みを実施する上で組織化するには、ウィキメディア運動体はウィキメディア運動内で重要な方法です。ウィキメディア運動体は専門家を雇用し、組織の使命と無償の知識の理想を支える場合があります。ほとんどの場合、この支援の提供はボランティアの皆さんの作業を拡大し支持します。

組織統治

運動の価値観意思決定の原則およびグローバル評議会が確立した基準に従うウィキメディア運動の運動体は、その構成と組織統治を文脈とニーズに応じて決定できます。特定のウィキメディア運動体の意思決定者とは、当該の組織の理事会または同様の機構であり、それらが代表するグループ、たとえばその組織の会員組織に対して責任を果たします。

責務

ウィキメディア運動体が担う責務は以下のとおりです。

  • ウィキメディア運動の参加組織が支援を意図するコミュニティの持続可能性を促す。
  • それぞれのコミュニティにおいて包摂性と公平と多様性を促す。
  • ユニバーサル行動規範(UCoC)を遵守する。
  • 関心の領域においてパートナー関係や協働を築く。

ウィキメディア運動内のリソースの割り当てを含め、さまざまな理由からウィキメディア運動体は一般からのアクセスが可能な報告書を提示して、それぞれの作業と活動を透明化する必要があります。

ウィキメディア運動体には収益の創出策を増やして財政面の持続可能性を高め、それによってウィキメディア運動の相対的な能力を向上させる選択肢があります。必要が生じた場合、このような収益創出の取り組みはウィキメディア運動の他の組織との調整が求められ、ウィキメディア財団やグローバル評議会も対象に入ります。

ウィキメディア財団

ウィキメディア財団(WMF)は非営利組織であり、ウィキメディア運動無償の知識プラットフォームと技術の主要な管理人および支援役として機能します。WMFは、世界中の人々が無償のライセンスまたはパブリック・ドメインの要件に沿って教育用の内容を収集し開発し、それらをグローバルかつ効果的に普及できるように支援することを使命としています。

ウィキメディア財団(以下WMF)の活動は、グローバル評議会の戦略的方向性とグローバル戦略に適合させる必要があります。運動の価値観意思決定の原則、WMFの使命に従い、WMFはウィキメディア運動全域にわたるリーダーであることと諸責任に貢献することを期待されます。同じ複数の理由により、ウィキメディア財団はさらにリソースの公平な分配に向けて努力することを期待され、それにはグローバル評議会が利害関係者との協議を経て確立した取り組みなども含みます。

組織統治

運動の価値観意思決定の原則に従い、ウィキメディア財団は運動憲章に依拠し、その運営上の文脈やニーズに応じ、それ自体の構成と組織統治を決めるものとする。当財団は特にウィキメディア運動にとって国際的、あるいは運動全体に影響が波及する問題について、グローバル協議会と緊密に協同します。

責務

ウィキメディア財団の責務は以下を含む。但し、これらに限定されない。

  • ウィキメディアのプロジェクト群の運営において、それらプロジェクト群に簡単にアクセスできるようにして理想に沿わせるため、中核的なソフトウェアのホスティングと開発、維持する事、利用規約、その他の運動全体の広範な方針を設定する事、資金調達キャンペーンを実施する事、コミュニティの自治と利害関係者のニーズを尊重し支援すること、その他の活動への参加が含まれます。
  • ウィキメディア運動のプログラム活動を支援する事。
  • 法的義務にはウィキメディアのブランド管理に加え、方針を提供してプロジェクトを実行可能にする構造にもたらす事、法律遵守を確保する事、法的脅威に対応する事、ボランティアの安全性を高める事などが含まれます。

グローバル評議会

グローバル評議会[8]は多様な視点を結集し、ウィキメディア運動の理想を推進するために協力し合う代表的な意思決定機関です。グローバル評議会はウィキメディア財団とその他のウィキメディア運動体と連携して活動し、ウィキメディア運動全体とすべての利害関係者にとって包摂的で有効な環境を育みます。

目的

ウィキメディア運動の多様な視点が集まるフォーラムとして機能するグローバル評議会は、この運動の将来の軌道を形作る上で重要な役割を果たします。常に変化する世界においてウィキメディア運動の重要性と影響を継続して確保しようと目指し、そのために戦略計画、ウィキメディア運動体の支援、資源の配分、技術の進歩などの機能を駆使します。

ウィキメディア運動全域から意見と経験を幅広く代表して最高レベルの意思決定に参加するには、情報に基づき、なおかつグローバルコミュニティの需要と優先事項を反映する意思決定が求められます。グローバル評議会はその委員の過半数をウィキメディア運動のボランティア基盤から選出し、当事者意識をより強めて相互の信頼を育み、ウィキメディア運動の理想とする無償の知識に向けた取り組みを促進します。包摂性を守り多様な視点の包含と代表を支えるには、グローバル評議会の委員は特定の構成人口に独占させず、言語や地理的位置、プロジェクト単位の構成人口を含め、これらに限定されてはなりません。

組織統治

グローバル評議会の組織は運動の価値観ならびに意思決定の原則に基づき、それ自体が活動する状況とニーズに応じてその構成と統治を決定することができます。同評議会はまた、独自の手順の詳細も決定します。これらの手順には同評議会の構成、理事の就任要件、意思決定プロセス、責務と説明責任、新しい意見や今まであまり聞き届けられてこなかった意見を取り入れる仕組みなどを含み、これらに限定されません。

機能

グローバル評議会が重点を置く4つの機能と意思決定領域とは、直接、ウィキメディア運動コミュニティと利害関係者に影響を与えるものです。同評議会は、この憲章が確立したすべての機能に意思決定権限を持ちます。選挙および選出プロセスを通じて指名されたグローバル評議会の委員は、同評議会の決定と行動に責任を負います。

グローバル評議会はその顧問を互選で決定し、選ばれた顧問は調整を引き受けて[9]この憲章ならびにグローバル評議会の決定に従って、グローバル評議会を代表する存在です。グローバル評議会顧問は、グローバル評議会の承認を得て、各委員会の設立と活動内容ならびに委員の顔ぶれが決まります。これらグローバル評議会委員会はそれぞれの構成ならびに運営方法を自主的に決めるものとし、その責務に貢献する追加の構成員をグローバル評議会の外部から指名することができます。グローバル評議会には4件を下限として委員会を設け、この憲章に概要を述べた4つの機能を委員会単位で1つずつ担当します。

戦略計画の立案

グローバル評議会の責任において、ウィキメディア運動の長期的な戦略[10]の方向性を策定します。戦略方向性は同評議会による決定の基盤となり、戦略目標を達成するイニシアチブ(取り組み)に優先順位を付ける指針となります。ウィキメディア運動体は全て、同評議会が確立した戦略方向性に賛成し、それを自らのプログラムや活動に組み込むよう求められます。同評議会はまた、このような戦略方向性に基づいてウィキメディア運動のグローバルな年間戦略の優先事項の推奨案も策定します。同評議会は戦略方向性を策定するにあたり、ウィキメディア運動の内外の利害関係者すべてと協議します。

ウィキメディア運動体の支援

グローバル評議会が機能について策定する基準の対象は、ウィキメディア提携団体[11]およびウィキメディア・ハブです。この実現に向けてグローバル評議会とその委員会は、これらの提携団体ならびにハブの承認/承認取り消しのプロセスを確立し監督し[12]、ウィキメディア運動体が組織基準に準拠していると確認するよう努め、紛争解決を促してウィキメディア運動内で協力的で互いを尊重する関係を維持し、ウィキメディア運動コミュニティにより公平な支援とエンパワーメントを目指したリソース(資金、人財、知識その他)へのアクセスを簡素化します。

資源の配分

グローバル評議会は、ウィキメディア運動における公平な資金分配の基準とガイドラインの制定と定期的な見直し[13]これらを戦略的方向性に沿って確立します。これらの基準とガイドラインは意思決定の原則に準拠するものとします。さらに加えて、グローバル評議会とその諸委員会は、ウィキメディア運動のコミュニティとウィキメディア運動体への助成金分配を決定し、運動全体の目標と指標を戦略的方向性に設定された優先事項に従って決定し、地域やテーマおよびその他の資金配分を決定し、グローバルなプログラムの成果を評価します[14]

技術の振興

グローバル評議会は、ウィキメディア運動の技術に重点を置いたさまざまな利害関係者[15]の間を調整し、技術の進歩に関する助言やガイダンスを提供します。同評議会は技術変更の優先順位を付けるウィキメディア財団を補佐し助言し[16]、これにはウィキメディアの言語プロジェクト群の開設と閉鎖が含まれ、さらにまた戦略的方向性の定める技術上の優先事項がウィキメディア運動のより広い範囲に理解されるよう支援します。グローバル評議会はウィキメディアの運動体およびオンラインの技術貢献者と協力し、これらの機能を遂行します[17][18]

創設初期と将来の拡張計画

初代のグローバル評議会には委員25名が参加し、その内の12 名はウィキメディアのコミュニティ全体から、8名はウィキメディアの提携団体から、1名はウィキメディア財団から選出し、残りの4名は専門知識と多様性を高める目的でグローバル評議会が直接、任命します。

グローバル評議会は構成員の2割(20%)を指名し、グローバル評議会理事に就任させます。

ウィキメディア運動体として革新と適応、成長を目指すグローバル評議会は、初期の設立とプロセスを通じて得た経験を活かし内部の仕組みと機構を見直します。少なくとも3年に1回、以下の事を行います。

  • グローバル評議会はウィキメディア運動の利害関係者と協力し、その機能を評価します。その評価には、次の同評議会の任期中に同評議会の機能と意思決定の範囲を拡大することが適切かつ実行可能か否かの検証を含みます。
  • グローバル評議会はウィキメディア運動のニーズを検討し、現在のグローバル評議会の会員数がその責任に見合うか否かを判断します。この検討の結果、同評議会は員数の増加または減少を決定する場合があります。同評議会に参加する委員は100名を上限とします。
    • グローバル評議会および他の利害関係者は、グローバル評議会の会員数を増やして多様性と経験の基盤を徐々に拡大することを選択した場合、グローバル評議会の委員が100名に達するまで18ヵ月ごとに委員を最大25名ずつ追加することができます。

改定

本憲章は長年における変化に対応できるよう設計されており、本憲章の改正は以下に規定する特別な事情がある場合を除き行われない。

改定の分類

  1. 微小な訂正。
    • 本憲章の意味あるいは意図を変えない綴りや文法の修正。
  2. 本憲章の改定の内、グローバル評議会の作業過程のみに影響を及ぼすもの。
  3. 本憲章の改定の内、次の各項に該当するもの:
    • 評議会の責任全般と理事構成の変更。
    • ウィキメディア運動の価値の変更、あるいは個人の貢献者やプロジェクト、提携団体やハブ、ウィキメディア財団や将来に加盟するウィキメディア運動体、さらにより広いウィキメディア運動の責任と権利の変更。
  4. ウィキメディア運動によって提出された変更案。
改定の分類 過程 改定承認部署 注記
1 議案に対する総票数のうち賛成票が百分の五五(55%)に達したものは可決とみなす。 グローバル評議会理事
2 議案に対する総票数のうち賛成票が百分の五五(55%)に達したものは可決とみなす。 グローバル評議会 コミュニティでの協議を推奨する。
3 運動全体での投票に対する総票数のうち賛成票が百分の五五(55%)に達したものは可決とみなす。 ウィキメディア運動 ウィキメディア財団理事会による賛成票を得る事を含む、可能な限り厳密に批准過程に沿った投票方式で実施する。
4 基準を満たした議案に対し投票を行い、運動全体での投票で総票数に対して賛成票が百分の五五(55%)に達したものは可決とみなす。 ウィキメディア運動 ウィキメディア財団理事会による賛成票を得る事を含む、可能な限り厳密に批准過程に沿った投票方式で実施する。

ウィキメディア運動憲章の改定提案

グローバル評議会の理事は、第一分類、第二分類、第三分類の改正案を提出することができる。グローバル評議会は第二分類と第三分類の改正案を提出することができる。第四分類の改正はウィキメディア運動のメンバーによってのみ改定案を提出できる。第四分類の改正案は、改正案の投票手続きを開始するために、一般からの支持を含む一定の基準を満たさなければならない。グローバル評議会は、ウィキメディアコミュニティと協議しその過程に対する責任を負う。

グローバル評議会は、第三分類と第四分類の改正案の投票を管理する独立委員会の委員を任命しなければならない。同評議会は、提携団体と個々の投票者の投票資格基準を定めるか、あるいはその責任を独立委員会に委任することができる。

批准

憲章が批准され、効力を生じるのは、投票を実施しその結果が以下の全ての要件を満たす時とする。

  • 投票権のあるウィキメディア提携団体の過半数(50%超)が投票し、そのうち提携団体の百分の五五(55%)による賛成。
  • 総有権者の百分の二(2%)以上が投票し、その百分の五五(55%)による賛成[19]
  • ウィキメディア財団理事会による憲章への賛成票。

正文と翻訳

本憲章は英語版以外の言語の翻訳版が存在します。翻訳版と英語原文の間に相違、あるいは齟齬がある場合、英語版を正文とします。

注記

  1. グローバル方針の枠組みにはウィキメディア・プロジェクトのウェブサイト利用規約、こちらおよびこちらで文書化した方針などが含まれます。
  2. どのコミュニティも評価手順は開かれるべきです。
  3. すなわち、コンテンツの変更であれ方針の変更であれ、その場に「参加した人々」であり、ものごとが決めるのを補佐したという意味です。
  4. コミュニティの方針はグローバルな方針もしくは法的義務と矛盾してはならない。
  5. 独立した紛争解決方法の確立後は「作成される予定です」を「作成されました」に変更予定。
  6. グローバル評議会の創設と移行期間に先立ち、ウィキメディア運動体はウィキメディア財団理事会の承認を受けます。されます。
  7. この憲章では言語ハブをテーマ別ハブの一つとみなします。
  8. 本憲章に対し2023年に受けた法的な評価に従い、当初はグローバル評議会を法人格として設立しません。
  9. グローバル評議会顧問(Global Council Board)とは次の任務を付託されます。すなわちグローバル評議会内部のプロセスが計画と日程表に従って進行するよう監督すること、必要な場所と時宜に応じて他者との調整をすること、グローバル評議会の運営と機能がその趣旨に沿うよう監督すること、その他の同様の任務。
  10. 戦略には、ウィキメディアのブランドを変更する主要なプロジェクトを対象に含みます。
  11. この意図するところには従来、提携委員会(AffCom) がグローバル評議会の設立前に担ってきた機能も含めます。
  12. このプロセスに関連する商標ライセンスと契約上の合意当事者は引き続き、ウィキメディア財団の責務とします。
  13. ここで言う資金とは運動全域における資金の配分を指します。
  14. この意図には、地域基金委員会がグローバル評議会の設立以前の時点で担ってきた機能も含まれます。
  15. 利害関係者には貢献者やウィキメディア財団、提携団体やハブなどを含みます。
  16. ウィキメディア財団とグローバル評議会両者の連携方法に関する合意は、了承の覚書に類する、もしくはサービス・レベル契約に類する文書を作成し、同評議会の提案を財団がのように扱うかなど示すものとします。
  17. このグローバル評議会という委員会の目的は、技術評議会の運動戦略イニシアチブの反映とします
  18. 技術の優先順位付けの最終決定は、製品と技術サービスの提供を主に担当する部署部局と、グローバル評議会関連で適格なコミュニティ主導の運動体が下します
  19. 批准手続き上、総有権者とはウィキメディア財団の理事を決める選挙に投票できる有権者のことを指す。