ウィキメディア概報 (2013年10月)
2013年10月のウィキメディア財団報告書及びウィキメディア技報の抄録ほかウィキメディア運動の重要行事について
ウィキメディア財団概報
ケニアでテキストメッセージを経由するウィキペディアへの無料モバイルアクセスのパイロットプロジェクト
携帯電話でのウィキペディアへのアクセスをデータ通信費無料で提供するプログラム、ウィキペディア・ゼロが、今月ケニアで利用可能になりました。携帯電話会社の Airtel とのパートナーシップにはUSSD/SMSを通じてのウィキペディアへの無料アクセスをテストするパイロットプロジェクトも含まれます。このサービスは、初めて、データ通信が有効なスマートフォンを持つ余裕がない人々が、低コストな基本的な電話(「フィーチャー・フォン」)でSMSを通じてウィキペディアを読むことができるようにします。
-
USSDを使用して 携帯電話で検索する単語を入力
-
一致したウィキペディアの記事の一覧から選択
-
選択した記事からどの節を読むか選択
-
記事の一部がテキストメッセージを通じて送信され、ユーザーは返信して続きを読むことができる
ウィキペディアを携帯電話において無料にしようとする南アフリカの携帯電話の草の根の努力に関するビデオ
2012年11月に、シネンジョンゴ高等学校の生徒らが、 Facebook で公開質問状を書き、携帯電話のキャリアに、自分たちが宿題をできるようにウィキペディアのアクセスにデータ通信料を課さないように働きかけました。 Victor Grigas と映画製作者 Charlene Music は彼らのところを訪れて、カメラの前で公開質問状を読んでくれるように頼み、結果として今10月に公開された短い動画が生まれました。このビデオと、キャリアがウィキメディア財団が組織するウィキメディア・ゼロのパートナーシップ・プログラムへ署名するよう求める生徒の訴えについて公開される更に長いドキュメンタリーの翻訳や、デザイン、プロモーションでの助けは歓迎です
フロリダのデータセンターの移転を計画中
ウィキメディア財団の技術的運営チームは提案の詳細な要求(RfP)を発表し、アメリカ合衆国の新しいデータセンターの場所の提供を求めています。バージニアの既存の主要データセンターに加わり、フロリダのタンパにあるデータセンターの代わりになります。ウィキペディアとその姉妹プロジェクトは2004年からフロリダでホストされていました。
データと傾向
9月の全世界純訪問者数:
- 5億600万人 (8月比+1.82%、前年比+6.54%)
- (ウィキメディア財団全事業のcomScoreの数値。10月の数値は翌11月にcomScoreから発表される)
10月の閲覧要求回数:
- 270.5億回 (9月比+4.4%、前年比+36.6%)
- (携帯情報端末による接続を含む、ウィキメディア財団全事業のサーバー記録による)
2013年9月の活動中の登録編集者 (5回以上記事名前空間編集/月、ボットを除く):
- 76,959人(7月比+0.76% / 前年比-5.83%)
- (ウィキメディア財団の全事業のデータベースのデータ)
通知表(ウィキメディア財団事業に関する様々な統計データと傾向を統合):
(定義)
財務
(決算情報は、本報告の2013年9月時点)
次の決算情報は全て、2013年9月30日時点の月度・年度のもの。
収入 | $7,868,439 |
---|---|
支出: | |
技術費 | $4,046,942 |
資金調達費 | $825,991 |
助成金授与費 | $441,816 |
プログラム費 | $424,627 |
助成金 | $674,032 |
統制費 | $152,461 |
法務・コミュニティ法的支援・通信費 | $843,218 |
財務・人事・運営費 | $1,982,059 |
支出合計 | $9,391,146 |
合計損失 | ($1,522,707) |
- 収入は、当月は予算99万ドルに対し実績246万ドルと、予算を147万ドル(149%)ほど上回りました。
- 会計年度内の収入は予算では298万米ドルであったのに対し、実績は787万米ドルで予算を約489万米ドル(164%)上回りました。
9月度の支出は予算の348万米ドルに対し、333万米ドルとなり、予算を157千米ドル(5%)ほど下回りました。主に、人件費及び資本支出、インターネットホスティング、裁判費用、渡航費への支出の低下によるもので、助成金及び支払処理手数料、外部発注費用の高騰が一部を打ち消しています。
会計年度内の支出は予算では1117万米ドルであったのに対し、実績は939万米ドルで予算を178万米ドル(16%)ほど下回りました。主に、人件費及び資本支出、インターネットホスティング、裁判費用、助成金、渡航費への支出の低下によるもので、支払処理手数料の高騰が一部を打ち消しています。
- 手元資金は2013年9月30日時点で3777万米ドルです。
その他のウィキメディア運動の概報
学問的な出版物からウィキメディア・コモンズにマルチメディアをインポートするボットに科学賞
オープン・アクセス・メディア・インポーター・ボット (OAMI)は、補足資料として音楽や動画ファイルを含む学術論文をデータベース PubMed Central から検索します。適切なフリーライセンスの下にあるファイルが見つかれば、ボットはウィキメディア・コモンズにそれらをアップロードします。資料の多くは、生物医学的な研究論文のものです。ボットは2012年から、14,000個以上のマルチメディアファイルをインポートしました。その多くが動画です。それらは、現在ウィキメディア・コモンズに存在する約38,000個の動画ファイルの大部分を形成します。インポートされたファイルの700個以上は、現在ウィキメディアのプロジェクト及び全体で月に300万回のページ閲覧数があるページで使用されています。
10月21日、恒例のオープンアクセスウィーク中ワシントンD.C.(米国)のあるイベントにて、User:Daniel Mietchenは、OAMIを支えるチームへの ASAP 賞を受け取りました。「科学の加速賞プログラム」は、オープンアクセスを支持する27の組織が後援しています。受賞者は各々30,000米ドルを受け取ります。
新プロジェクトが、アフリカのコミュニティにウィキメディアのプロジェクトに地域的な内容を投稿するよう促す
Kumusha Takes Wikiは、アフリカの人々が「自分たちのコミュニティ(村やタウンシップ、郊外、都心等など)についてのフリーライセンスな情報や文章、画像、メディアを作成し投稿する」ことを支援するための新プロジェクトです。Orange Foundationにより出資されました。写真はウィキメディア・コモンズにアップロードされ、文章はウィキペディアやその他のウィキメディアのプロジェクトでの再利用に適した形で提供されます。
"Kumusha"は、ショナ語(ジンバブエ近隣の国々で話される言語)の言葉で、「出身の場所」を意味します。プロジェクト「Kumusha Takes Wiki」は、アフリカでウィキメディアのプロジェクトへの投稿を奨励することを目標にしているプロジェクトとイニシアティブのネットワークである「Activate Africa」の一部であり、ウィキマニア 2013にて始動しました。
第3回「Iberoconf」首脳会議がメキシコシティで開催
Iberocoopは、ラテンアメリカとスペイン、ポルトガル、イタリアからウィキメディア運動の支部やその他のグループが参加するイニシアティブです。10月12日から10月15日にかけて、これらの組織の代表者に加え、幾人かのウィキメディア財団の理事と職員が2011(ブエノスアイレス)と2012(サンティアゴ・デ・チレ)の後の3度目の会合Iberoconf 2013のためメキシコシティに集まりました。
成果の中でも、決定はIberocoopの進行役を指名することでした。ウィキメディア・メキシコのCarmen Alcázarは、この役割につく最初の人物になります。