裁定委員会から理事会への公開書簡

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親愛なる理事会の皆様方へ、

ウィキメディア運動各所の裁定者ならびに裁定委員会より、公開にて書簡をお送りします。

これまで私たちは、ユニバーサル行動規範(Universal Code of Conduct 略号はUCoC)の作成過程を注視してまいりました。多くの小規模なコミュニティには基本的なルール一式がなく、そのため新規編集者にとって何が受け入れられる行為で何がそうでないか、うまく見極めるのが困難であることを承知しております。加えて、誰も酷い扱いを受けることがないことを確実にするためのすべてのウィキを対象とした基本的な行動規範の作成を後押しします。私たちのコミュニティの編集者は、質の高いコンテンツ作成に役立つ環境を望んでいます。編集者が意見や文化、性別その他で差別されることがあってほしくありません。編集者はその編集によって判断されるべきだからです。私たちの経験では一般論として、グローバルなコミュニティや私たちのプロジェクトは、誰一人として差別や付きまといの被害者にしないためのルール類を支持するはずです。(※=conducive)

しかしながら私たちは、ユニバーサル行動規範(略号 UCoC)の施行そのものについて、そしてその施行が私たちのプロジェクトでどのように捉えられるかについて、懸念を抱いています。理事会のUCoC批准に先立ってプロジェクトへの正式な聞き取りが行われなかったことで、UCoCはコミュニティによる正当な試みではなく、ウィキメディア財団による上からの押し付けと解釈される恐れがあります。私たちのプロジェクトのうちのいくつかは、すでに財団とコミュニティの衝突によって大きな痛手をこうむってきています(例えばドイツ語版ウィキペディアのSUPERPROTECT事案、英語版ウィキペディアのFRAMGATE事案)。私たちはユニバーサル行動規範に関してそのような事態が起こらないよう望んでいます。なぜならそれが編集者の行動に対する方針・仕組み・経験が未発達のプロジェクトにもたらすはずの恩恵を台無しにしかねないからです。さらに聞き取りと協議を重ねるよう日程表が数回にわたり改訂されたのは、前向きな一歩です。

したがって、私たちのようにより洗練された管理システムを備えたプロジェクトがUCoCの次の段階に正式に関与することが非常に重要です。最近、第2フェーズの草案を作る新しい委員会への参加呼びかけに気づきました。草案委員会には、裁定者の経歴がある人もしくは行動に関する複雑で難しい事案について同等の経験を備えた人を最低1名委員として、さらにこの経験もしくはスチュワードの経歴があるもう1名以上を助言者としてそれぞれ加えるべきです。(※=more sophisticated。)

私たちは、個別のプロジェクトにUCoC施行の拒否権※1を与えることができないことは理解しています。しかしながら、どのようなUCoCの施行手続きができようと、個々のプロジェクトにとっては自分たちが真剣に関わっているという実感が必要な点は、理事会の皆さんもご理解ください。この関与と協力関係の実感※2抜きでは、UCoCは最終的に不成功に終わってしまうでしょう。かたちばかりの聞き取り調査では不十分です。UCoC施行の仕組みを批准する正式なプロセスが、1つの段階として必要です。(※:1=a veto。2=sense of investment and partnership。)

UCoC はまた、生きた文書であるべきです。コミュニティは変化し発展してきましたし、万人に通用する行動も同じです。10年前に作成したならば、異なる文書だったはずですし、10年後には世界的な標準※1も異なるものになるだろうと感じます。ユニバーサル行動規範を改訂する方法を追加するべきです。どのような改訂でも採用される前にコミュニティや個人が意見を意義のある形で伝える機会が確保されるようにするため、改訂手順は今日までの経験知※2に基づいて作成されるべきです。(※:1=norms。2=lessons learned。)

ウィキペディアおよびその他のプロジェクト群は、信じられないような知識の集積を造り出し維持管理する、各コミュニティにおける編集者の身を粉にした働きによってのみ存在することが可能なのです。ここまでに述べてきたような道のりはより長いですが、早急な決断や、その影響を受けるボランティアから見て妥当性を欠いた決断は、私たちのコミュニティならびに私たちが行う作業にとって、非常に深い痛手となり得ます。ウィキメディア財団の価値を述べた文言を引くなら、「協働作業は必ずしも簡単ではありません。時には苦しみがあります。共に作業するのは大変でも、それだけの価値はあります。自分たちが強くなるから、取り組みます。」どうかあなたがたも、私たちと共にもっと強くなるよう申し入れます。(※=ask)

よろしくお願い申し上げます。

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