ウィキメディア概報 (2011年12月)
2011年12月のウィキメディア財団報告書及びウィキメディア技報の抄録ほかウィキメディア運動の重要行事について
ウィキメディア財団概報
直観編集機能の試作
12月13日、ウィキペディア等ウィキメディア事業のためのビジュアルエディタ開発班が、最初の試作品を公開しました。この開発は、財団が2011~2012年の年次計画で示した最優先課題のひとつです。ウィキのマークアップは本来参加できるはずの多くの寄稿者の障害となっており、このビジュアルエディタによって編集が簡単になることが期待されます。
http://blog.wikimedia.org/2011/12/13/help-test-the-first-visual-editor-developer-prototype/
募金運動終了、総額記録更新
2011年の年次募金運動は、2012年1月1日に終了しました。世界のほぼ全ての国から合計100万人以上の寄付があり、総額は記録を更新する2000万米ドルとなりました。今年のキャンペーンでは、ウィキペディアの作成に協力する職員とボランティアを強調しました。対象となったボランティアは、アルゼンチン、ブラジル、インド、ケニア、英国、米国の各国の編集者で、年齢は18歳から76歳でした。
https://blog.wikimedia.org/2012/01/02/wikimedia-fundraiser-concludes-with-record-breaking-donations/
年次報告書発行、初の翻訳付きで
ウィキメディア財団の最新の年次報告書が、12月半ば、PDFとウィキ形式で公開されました。今年の報告書では、財団の主要戦略活動に焦点が当てられました。インドでの成長支援や、携帯情報端末対応、ウィキメディアのソフトウェアの改良と単純化、世界教育計画の作成などです。昨年度に私たちのコミュニティが挙げた成果についても触れられていて、ウィキペディアにおけるアラブの春の記事の作成における中心的な項目として流布された項目についても、特集されています。今回初めて、「概要」版を7言語で提供しました。
http://blog.wikimedia.org/2011/12/17/our-latest-annual-report-how-the-world-tells-its-story/
利用規約の更新草案の共同作成行程が完了
提案された利用者同意書への意見期間が120日間以上設けられ、強力で有効な利用者の意見が求められています。提案された利用者同意書の現在の版と、闊達な議論をご覧ください。
データと傾向
11月の全世界純訪問者数:
- 4億7400万人 (10月比0.4%減、前年比15.6%増)
- (ウィキメディア財団全事業のcomScoreの数値。comScoreは12月の数値を翌1月に発表する)
12月の閲覧要求回数:
- 163億回 (11月比6.2%減、前年比17.1%増)
- (携帯情報端末による接続を含む、ウィキメディア財団全事業。サーバー記録)
2011年11月の活動中の登録編集者数(月間編集回数5回以上):
- 83,444人 (10月比1.2%減、前年比数値は現在利用できない)
- (ウィキメディア・コモンズを除くウィキメディア財団全事業。データベース数値)
2011年11月の通知表: http://stats.wikimedia.org/reportcard/RC_2011_11_detailed.html
- 通知表をより多機能な計器板(ウィキメディア財団事業に関する様々な集計値や趨勢をまとめたもの)にするための再設計が進行中。
財務
(決算情報は、本報告の2011年11月時点)
次の決算情報は全て、2011年7月1日~2011年11月30日期のもの。
収入: 1450万ドル
支出:
- 技術費: 391万6000ドル
- 共同体・募金活動費: 173万2000ドル
- 全世界展開費: 145万4000ドル
- 統制費: 40万6000ドル
- 財務・法務・人事・運営費: 241万9000ドル
支出計: 992万7000ドル
総利益(括弧は損失): 457万3000ドル
収入は、280万ドルの助成金と、予定の210万ドルを上回る寄付により、予算を上回りました。
支出は、990万ドルと、予算の1160万ドルを下回りました。主要な出費や協会への助成金、雇用費用ほかの活動に関する支出において、予算に対して実際の支出が少なかったため。
現金は、2280万ドル。現在の損益水準にして12ヶ月分、年次計画の10ヶ月分。
その他の活動概報
ウィキモニュメント撮影大会の優勝作品は Chiajna 修道院の冬の写真
Mihai Petreによるブカレスト郊外のキアジュナ修道院の写真が、2011年のWiki Loves Monumentsコンテストの優勝作品になりました。このコンテストでは、9月の一か月間、呼びかけを受けたヨーロッパの18ヶ国からの参加者が、自国の文化遺産の写真をウィキメディア・コモンズにアップロードし、5000人を超える利用者(大半が新規参加者)から16万5000件以上の投稿がありました。優勝作品は、169の最終選考作品からヨーロッパの審査員団が選出しました。
ドイツ協会がフリーナレッジ事業コンテストの当選者を発表
ウィキメディアドイツ協会は第2回の"Wissenwert"コンテストの結果を告知しました。これは、自由な知識を推進する事業に最大5000ユーロを支援するものです。5人の当選者は、ウィキメディア・コモンズへのオープンアクセス学術雑誌の移入、OpenStreetMap での古地図の表示、ウィキメディア・コモンズとその他の自由コンテント資料を探検するゲーム、ヒトゲノム情報の共有のためのプラットフォーム、YouTubeにおける教育用動画の字幕に携わります。
GLAMキャンプ・アムステルダムで文化の共同作業についての議論
12月2日から12月4日のあいだ、アムステルダムの MediaMatic Lab においてウィキメディアオランダ協会の主催によりGLAMキャンプ・アムステルダム研修会が開かれました。文化施設(美術館 Galleries、図書館 Libraries、文書館 Archives、博物館 Museums。まとめて「GLAM」という)へのアウトリーチ(伝道)で活動するウィキメディアンが21の異なる地域から集まり、先ほど挙げたような施設の代表者に面会しました。取り上げられた話題の概観は「This Month in GLAM」に掲載されています。