ウィキメディア財団 年次計画/2024-2025/目標/公平性

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知識の公平性とは、知識の格差を埋めること、無償の知識に参加しやすくすること、私たちのプロジェクト群と運動が私たちの奉仕する世界を代表するものであると保証すること。 ウィキメディアの戦略方向性には次のように記してあります。 「社会運動である私たちは、権力と特権の構造によって取り残されてきた知識とコミュニティに焦点を当てていきます。私たちはあらゆる背景をかかえた人々を歓迎し、強力で多様性のあるコミュニティを構築します。 私たちは、人々が無償の知識にアクセスし、貢献することを妨げる社会や政治、技術に起因する障壁を打ち破ります。」

知識の公平性を支える

意思決定における公平性を強化するため、運動の組織統治(ガバナンス)、リソースの公平な配分、知識の格差の解消、運動内のつながりを実施します。

私たちの支援とは、より持続可能で多世代を受け入れるプロジェクトになることばかりではなく、この目標を前進させる要素として、運動の組織統治と意思決定、リソース配分、知識創造、人脈作りにおける公平性をもたらします。 消費者には知識を検索して発見する方法が増えた時代であり、作成者(クリエイター)は知識共有の新たな機会ときっかけ(インセンティブ)を手に入れた時代、ウィキメディアのプロジェクト群は重要な代替手段として際立つからこそ、私たちは公平性の伸展から手を引いてはいけないのです。

今年、「公平性」の目標のもとにまとめてある作業は外部の傾向の次の3つに呼応します。

  • コンテンツ:投稿者はオンラインで知識を共有する、有益で強力な方法を数多く備える
  • 検索:情報が溢れるあまり、消費者は信頼できる人々に集約してもらいたがっている
  • 偽情報:コンテンツの真実はこれまで以上に議論の的になり、AI は武器化される

さらに話し合い:2024で交わした議論で繰り返し話題になったのは、人間主導という私たちの運動の性質、あらゆる貢献を価値のあるものにすることの重要性でした。 ほかの意見も聞き、運動の役割をより明確にする必要があるというものでした。

運動の組織統治と意思決定

Maggie Dennis

年次計画を運動の2030戦略方向性に準拠させて3年目に突入するにあたり、私たちの公平性への取り組みは引き続き最前線にあります。 知識の公平性では、既存の権力構造によって歴史上、疎外されてきた知識とコミュニティを優先するよう、求められます。

集団としての世界における影響力をさらに強化するには、意思決定における公平性を強めることが重要な要素であり、コミュニティと組織のグローバルなネットワークをより適切に調整すると信じています。 こんどの年次計画で私たちは責任の共有公平な参加ガバナンスの成功の支援に重点を置き、それをウィキメディア運動の全域にもたらし、運動そのものの重点目標にします。 今年の活動を旅にたとえるなら、本質は次のとおりであり、すなわち、運動全体の意思決定者に権限を与え、運動グループの環境として自主性の尊重と支援の促進、さらに私たちの組織統治の実践(ガバナンス)の面では効果的であり同時に包摂的で関係者の誰でもインスピレーションを受けるものとなるよう保証します。

私たちは引き続き、効果的で影響力のある公平な意思決定をサポートします。運動憲章は運動における将来の役割と責任を明確にし、2年半を費やしてウィキメディア活動と運動全域にわたる対話を経て、ハブとグローバル評議会のような潜在的な新しい構造の提案を含めて完成に近づいています。 財団は運動憲章起草委員会(MCDC)およびその他の関係者と直接連携して、視点の共有、どのような役割と責任をさまざまな運動団体が分担するべきか、議論してきました。 直近の次のステップは「計画の履歴」という見出しで詳しく説明します。

一方でこの取り組みを進行させる私たちは他方で、地域ハブおよびテーマ別ハブおよびネットワークの伸展に取り組み続けます。 戦略サポートや調整・促進、文書化や学習など後ろ盾のサービス(バックボーン)の提供を準備してあります。 また、運動のハブその他のコアのインフラをより戦略的に実現するには、運動戦略実施助成金のポートフォリオの一部として、財政支援と助成金も提供します(Movement Strategy Implementation Grants)。

新たな組織統治構造の発展を支えながら、私たちは今後も他の主要な統治関連の委員会類を支援し、ここでは広範な運動に影響を与える意思決定権限を持つ委員会として定義します。 具体的に以下を含み、これらに限定されない場合があります。すなわち提携団体委員会、選挙管理委員会および 財団の理事会。 私たちの目標はこれらの委員会の自主性を尊重しながら、任務を遂行できるように必要に応じて補佐することにあります。 今年は主な焦点3つを設けます。 (1)委員会支援の手順を実装して反復改善し、サポート要請の効果的な処理、関係者間の協力促進の役に立てるため、たとえばサービスの集中受信箱(インボックス)を設けること。 (2)提携団体委員会を支えるため一方で進化版の認証手続きを整え、他方で財団チーム間の連携をもっと緊密に築き、同委員会(AffCom)や理事会と協力して提携の課題の適切な評価と対処を実行すること。 (3)ウィキメディア財団理事会選挙に委員会の利害関係者の新しい責任分担図を導入し調整して、運動全域の投票者が正当と認める整然とした選挙を支えること。

また運動統治委員会に参加するかどうか、関心のあるボランティアの皆さんには、さらなる研修と育成および新人研修のサポートも提供する予定です。

資源の配分

Yael Weissburg and Veronica Thamaini

ウィキメディア財団は運動と協力して2021年、運動戦略の勧告と一致させ運動の持続可能性を高めるため、助成金の配分プロセスを更新、助成金戦略を開始しました。 変化を受けて助成金は毎年連続して増加、ところが地域の成長率はそれを上回り、私たちはずっと投資不足で過ごしてきました。

財団は今年も引き続き助成金を運動戦略と連携させ、運動の長期的な成長と持続可能性を促進しようと、コミュニティと協力して資源の公平な配分に対応していきます。 資金配分をめぐる意思決定をウィキメディア運動そのものに近づけようと、8件の地域基金委員会と協力し、提携団体やコミュニティ参加者と手をたずさえて協力していきます。 助成金ポートフォリオの地域配分は協力して決定します。 また資源配分における補完性を目指して協力し、世界的なキャンペーンや迅速基金助成金に関して意思決定を作業に最も近い人々に移すなど、具体的な措置を講じます。

提携団体それぞれのより適切な長期計画と予算編成を促進するため、今年は支給期間3年の助成金予算を公表します(従来の1年単位の予算とは対照的なもの)。また関心を示す提携団体と連携して、ローカルおよび地域単位の資金調達能力を伸ばそうと、ツールやリソース、人材サポートを実施していきます。

ウィキメディア財団は、2023-2024会計年度において知識の公平性基金の第3ラウンドを発表しました(Knowledge Equity Fund)。 2020年設立のこの基金は、知識と人種平等の目標を推進し、無償の知識の障壁が人種不平等によって引き起こされ、これに対処することを目指しています。 2020年に基金が確保した初期額は、助成金のラウンドごとに消化され、メタでは残高を表示できます。 知識の公平性基金は昨会計年度、コミュニティに積極的に働きかけて集めたフィードバックに基づき、新しい取り組みを導入しました(基金の目標に取り組む運動内のグループとならんで、外部の提携組織にも付与される提携助成金など)(Connected Grants)。 今年もこの基金を引き続き活用し、新しい方法を模索して知識の公平性に波及効果を達成していきます。

知識の格差を縮める

Ben Vershbow, Fiona Romeo, Runa Bhattacharjee

運動体としての私たちの役割について「2017年の戦略方向性」は、「人々が無償の知識にアクセスし貢献することを妨げる障壁すなわち社会や政治、技術に起因するものの打破」と確認しています。 知識の格差を効果的に縮めるようとするコミュニティをどうサポートするか、今年は財団の製品と技術の各部門やアドバンスメントとコミュニケーションの各部門の職員は協働して、アクセスや適応や改善が容易なツールやサポート・システムを整え、信頼できる百科事典コンテンツの成長を加速させようと取り組んでいきます。

主にウィキペディアに載せている百科事典のコンテンツの増加および改善は、コミュニティの支援と技術革新の継続的なサイクルにより実現できます。 知識の格差を縮めるには、より簡単に課題を発見して編集者や主催者が方策を計画できるようにする方法が必要であり、エコシステム内で新しい言語版を育成し確立する際には(インキュベート)、障壁をもっと軽減する必要があります。 質の高い百科事典コンテンツの成長を目指すのだから、たとえば支援サービスなら「ウィキペディア図書館」など、リソースならコンテンツ・キャンペーンやウィキプロジェクト類などコミュニティが組織する器(ビークル)などを、もっと適切に投稿ワークフローに統合したほうが合理的かもしれません。 最近の傾向として、AI 支援によるコンテンツ生成や利用者行動の変化があり、これらに考慮して基礎の大幅な変更も検討し(函数ウィキの Wikifunctions など)、コンテンツの作成と再利用における大規模な成長を支援します。

今年の優先事項は以下のとおりです。

  • 主催者や寄稿者、団体が主要な主題分野で質の高いコンテンツの網羅性を高めるように、ツールや洞察、組織化のアプローチを支えます。
  • 技術的な運動勧告2件の展開と試験を実施して分析、小規模の言語コミュニティの導入を支えたり、一般社会およびコミュニティからフィードバックを集めて評価を行います。
  • 貢献者用の新機能2つを導入、また3~5箇所の機関パートナーと協力し、言語や地理的位置の格差に対処するソース資料を容易に提供できるように計らいます。
  • ウィキファンクションズを小規模な言語版ウィキペディア1件以上で有効にして、新しいコンテンツのきっかけを設けて(シード)、既存のコンテンツをスケーラブルな方法で更新し続けます(Wikifunctions)。

運動を結ぶ

Mayur Paul

財団が運動全体で公平なつながりを築けるかどうか、それによって、より大規模なウィキメディア運動の一部として効果的に活動できるかどうかが決まります。 私たちの運動が世の中につながっているために、来年度は祝い合い、結びつけ、招集するというこれまでの活動をさらに発展させます。 私たちは運動コミュニケーションの調査から得た2021年の洞察に基づいて、共創に焦点を当てます。 財団全域の点と点を結びつけ、意図して包摂的に関わり、意思疎通のありかたを選びます。 これらの多くは財団の包括的な目標であるインフラ、公平性、安全性と整合性、有効性を達成するため、舞台裏で行われます。 全体として、私たちはウィキメディア運動へのつながりと帰属意識を強化していきます。

努力は、以下の広範な優先事項4件にしぼります。

また、ウィキ学び(WikiLearn)の修了証、専門機関や教育機関の認定証という形で、ウィキメディアに寄せた貢献の認知度を高めたいと考えています。対象には、ジェンダー関連の寄稿者による作業内容を血の通ったものにすることも含んでいます。 ジェンダー格差に対処し、共同で取り組む私たちのストーリーを伝えること、そして運動内外の観衆に新たな読者や寄稿者、寄付者になるよう促します。 この優先順位は、ウィキメディアのプロジェクト群における寄稿者体験の向上を目指すインフラの作業と一致しています。

  • 私たちは、多文化で多言語のコミュニケーションを通じて地域のつながりを深め、ローカルの知識に基づいた双方向の会話を構築します。当財団の地域スペシャリストは地域社会との協力と共通理解を育むために、これまで築いてきた多くの個人的な関係を維持し発展させていきます。

ローカルの地域の野心やストーリー、集会その他に耳を傾け、拡声し - このプロセスを採用する年次計画自体を手始めに、アフリカ・アジェンダ(Africa Agenda)のような地域の優先事項や計画を提言する計画に取り組みます。 また人々がつながる共有空間を地域社会と共創し、アフリカ・バラザWikiCauserie中欧東欧の復習(キャッチアップ)南アジアの公開コミュニティ会議その他を創造していきます。 As part of collaborating on this year's plans we joined many of these co-created spaces to hear about different community priorities, discuss how the work captured in the plan can support these priorities and answered questions about the annual plan.

  • 地域を超え、そして世界とのつながりも引き続き重要です。ディフ(Diff)のようにウィキメディアンが一緒に学ぶ運動の共有空間から、メタ・ウィキに作成しページ構造がもっと明確でアクセスしやすい場所に至るまで、私たちは地域を超えてつながる人々を支援します。Diff の年間訪問者数は暦年の2023年に 23万8594人 を記録(対2022年比 24% 増)、アクセス回数はほぼ世界全域から 43万6612 回(同比 11% 増)でした。

また運動主導の相互学習事業「レッツ・コネクト」を継続、地域への影響力を高める方法として、主催者ボランティア向けのリソースを開発し、現地の言語と標準時にセッションを設定できるようにしていきます(Let's Connect。) ウィキメディアのモデルについては私たちの目指す「公平性」「安全性と整合性」の目標2つを支援するため、法律がいかに私たちのモデルを考慮に入れず、あまりにも広範な波及効果を潜在的に携えているか、提携団体と協働して議員(立法家)の教育活動を担うつもりです。 ボランティアの皆さんと協力して地域の能力を構築し、コミュニティの繁栄にどんな法的および規制の枠組みが必要か、前向きなビジョンを推進していきます。 During the annual plan collaboration period, Wikimedians also shared how they want to be able to connect to the Foundation more simply. We will continue the work we began in 2023 to improve the Foundation's presence on Meta-Wiki and build a clearer, more straightforward way for movement members to access resources and information from the Foundation. This involves improvements to team and department pages and staff listings, as well as a centralised support line allowing anyone to contact a human at the Foundation on any topic, at any time, and be connected with the right person or team to handle their question or request.

  • 最後になりますが、私たちは今後とも人々が協力し共創できるよう支援 していきます。これには、この運動の国際イベントの旗艦 - ウィキマニアの支援を含みます。アフリカ・アジェンダは「アフリカが世界規模のイベントや私たちの運動の対話に参加することは、この地域にとって今も大きな悩みの種であり続けます。例えば運動戦略のようなプロセスへの参加に影響を与えたものとすると、ビザ申請に問題がありウィキメディア・サミットに参加できなかった可能性がある」と指摘しています。ウィキマニア運営委員会は複数年にわたる計画に取り組み、その一環として2024年、2025年、2026年担当のウィキマニア開催地を決めてあり、ウィキマニアを初めて東アフリカにもたらすことも含まれます。この決定では、アフリカ出身の学者に対する公平なビザ発給手続きが重い課題でした。これら旗艦イベント開催地ごとにコア組織チーム(COT)と緊密に協力し、ウィキメディア運動のバーチャルと対面の両要素を備えた計画立案を支援します。今年、ウィキマニア2024のCOTは「オープンの精神」をテーマに会期8月7日-10日にわたり「開かれた協働の精神」で、ウィキマニアをカトヴィツェで開催します(Spirit of the Open)。ウィキマニアから学んだ教訓をこの運動の他の会議主催者と共有できるよう、当財団ではCOTを支援します。さらに、財団が提供する運動のカンファレンスへのサポートについても、私たちは運動内の主催者すべてと協力し、地域イベントやテーマ別イベントを含めて、一貫した支援体制を協働して創出していきます。

あるいはまたウィキメディア・ハッカソンは、この運動の技術面の旗艦イベントであり、引き続きそのサポートとして経験豊富な技術貢献者を招集、最も大胆な実験プロジェクトやバグ修正を実施して、技術コミュニティの皆さんが確かなつながりを感じるように対応していきます。


百科事典のコンテンツをさらに増やす

今年の年次計画の各目標は、製品と技術部門の取り組みにも対応を受けます。

公平性を達成する作業の詳細は、以下の主な成果(OKRs)ごとに述べてあります。