ウィキメディア財団 年次計画/2022-2023/協働

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付録 フィードバック

2023年4月18日-5月19日 にかけてウィキディア財団では世界の各ウィキのウィキメデイアンの皆さんと年次計画の草案を共有して協議を重ねてきました。年次計画草案の概要を30件超の、オンウィキとオフウィキ両方のコミュニティのチャンネルに掲出しました。財団はまたコミュニティとの協議に合計4回(グローバル3回、対談型1回はウィキカンファレンス・インド併設)においてボランティアと提携団体の皆さんと次年度の関係者共通の優先順位に関して双方向の会話をかわしました。

結局、財団は5つのトピックについて協議の場を開き、1件は外部のトレンドと人工知能、4件は製品と技術関連の業務に関するフォーカスエリアの主題です。13言語(昨年の6言語から約217%増加)の690人以上(昨年から約38%増[1])が年次計画をめぐるライブの会話に参加し、オンウィキで議論に参加した人は60超で、主に製品&技術業務作業のトークページと年間計画草案の全文版トークページで計画について議論しました。オンウィキのページビューは昨年の17,000件に対して、今年は203%、すなわち34,604件に伸びました。計画概要の多言語版への翻訳は30超におよびました(昨年比200%超増)。

総体的なフィードバック

  1. 製品と開発部門の焦点は、ワークショップ開催の目的と主要な成果に的を絞るなら、フィードバックの貴重な機会を設けることになり、職員とボランティアの間で不明瞭点を明確化する機会にもなりました。
    ウィキメディア財団の今年の年次計画では、製品と技術部門における取り組みに重点を置き、規模としてこれら分野の取り組みが私たちの取り組み全体に占める割合、来年は具体的に既存の編集者のニーズに注力する件の両方に注目が集まっています。この目的を達成するために、全体の年次計画に先立って作業領域ごとに初期段階の草案を「バケツ」として公開し、続いて草稿の目的と主な結果(OKR)を公開して、コミュニティから意見やフィードバックを集めました。その次には職員と編集者の間で、それぞれのOKRの用語や注力点、指標や全体的なアプローチを協議し、また計画した作業のさまざまな分野に最も関与の強い利用者を対象にフォーカス・グループを設けて、オンウィキで議論を交わしました。これらの審議の参加者は120名です。(※:OKR=Objectives and Key Results)
    製品と技術部門を横断した議論では(主題は目標1:サービスとしての知識の進歩)、会話のテーマは主に主要な結果(KR)単位で目的を明確にすること、ターゲット指標が描いた成果と実際にはどんな想定外の結果があり得るか、その特定に焦点を当てました(※:KR=key results)。財団が受け取った一般的なテーマとフィードバックは次のとおりです。
    • 経験を積んだ編集者に対するニーズに応じる支援、なかでも編集初学者に肯定的に対処することで全体の仕事量を絞り込む点。
    • 差し戻しの必要がない編集を増やす支援として、特にグローバル・サウス出身の編集者の投稿や、主題としてジェンダーやLGBTQ+に取り組む編集者のそれを補助すること。
    • 用語として「拡張した権限を保持する編集者」すなわち非公開情報にアクセスできる人の定義は複雑。投稿者として広く多岐にわたるこのグループに対し、どのウィキでも通用する共通の用語がなくて使えない点。
    • ウィキメディアのプロジェクト群に共通のツールを開発する価値がある点
    • Toolforge優先は今後も重要である点
    • 指標と分析はもっと明確にする必要がある点
    • 人工知能(AI)に関しては楽観論と警戒感がどちらもある点
    • 画像や音声の優先順位を下げるべきではないと言う人たちもいる点
    製品部門と技術部門では来年の予算年度にかけて焦点を絞ってある勧告事項と、これら広範なテーマとを並行してアプローチに組み込む予定です。
  2. 財団が概説した優先事項は、ウィキメディア運動全体の優先事項と一致しています。
    上記で述べた分野とは以下を含みます。
    • 他の予算分野では縮小もしくは前年比同額を貫くとしても、助成金の規模を拡充すること
    • 地域ならびにテーマ別のハブ開発に今後も投資を続け、実験も試みること
    • 地域単位の、コミュニティに向いた職員の役割分担や実務時間にリソースを振り分けて、コミュニティとの協働を長期に築くこと
    • ウィキメディアのプロジェクト群をもっと身近にすることに、視覚障がい対策を盛り込むこと
    • 編集者の定着をめぐり、問題点の社会的な面と技術的な面の両方に軸足を置くこと
    • IPブロックに関する課題と、グローバル・サウスのウィキメディアンにとって特に困難な誤った情報・偽情報の問題に対処すること
    財団は来年度に向けて、年次計画の分野ごとに関連の深い活動や専門知識に関して運動のさまざまなグループから直接のフィードバックをより明確に求めるとともに、運動全体を見渡した協働において、ウィキメディアの他の計画や機会との具体的な重複に言及することが推奨されました。(この点は5番目のポイントで詳説します。)
  3. 「新しい」財団の一面として、今年の年次計画草案は具体的で透明性がある点を広く評価されました。
    今年の年次計画草案は概して、その長さ、重点を示した章立てと形式が好評でした。ボランティアの皆さんには年次計画の細部が好評で、特に大枠としての財団の来年の活動予定と、情報公開面では財団運営や報酬慣行、予算の枠組みや幹部職員の給与に関する詳細さの両面が対照してある点が注目されました。コミュニティからは、この計画が運動戦略プロセスおよび勧告事項との一致が明確であることを高く評価されました。
    今年の年次計画では、もう1つ重要な実践をしており、多言語化による関与へのアプローチでした。計画草案の概要は34言語に翻訳、また財団はライブのディスカッション6回に参加し、同時通訳を伴って合計10言語で実施しました。これらの対話は広く参加を得て参加数は合計510人前後で、それぞれが選択した言語で共有しました。
    最後にボランティアから意見が寄せられ、財団がコミュニティのフィードバック受付に専念し1ヵ月をかけて取り組んだことはよかったと聞きました。
  4. 年次計画案のさまざまな部分について議論が出ており、外部の傾向から財団の詳細、4つの目標にわたります。
    財団の年次計画案に関して、ウィキメディアンの皆さんから幅広いトピックに関心が寄せられ、新しいトピックだが来年の計画では重要な考慮事項であると感じた点に、質問と新鮮な考えの両方が共有されました。ここで言うトピックとは、中国、財団の資金調達モデル、私たちが残す二酸化炭素の足跡(排出量)、テレビ会議用ツール、著作権保護の重要性、コモンズで運用するアップロードのバッチ処理ツール、機械学習、新規利用者の誘致、知識の公義(公平性)、技術協力、地域ごとのアプローチなどが含まれています。
    年次計画案における変更点は、言い回しとスペルの修正が大部分を占めました。これら文字編集を行った部分は概要(差分)、履歴(差分)、外部の傾向(差分)、目標(差分)、安全性と包括性(差分)、有効性 (差分)、財団の詳細(差分)に含まれています。インフラストラクチャのページを少し簡素化(差分)、公平性のページでは地域およびテーマ別プログラムに関する節を明確にしました(差分)。最後に財務ページの文章の一部を推敲し、助成金プログラムに関する新しいコンテンツを追加してあります(差分)。
  5. 年次計画の立案はウィキメディア運動の各所と連携した企画立案のチャンスでもあり、さまざまな地域やコミュニティのそれぞれの優先事項を知る機会でもあります。
    • ウィキメディア・ワユ語話者利用者グループはコミュニティの取り組みと、2023年2月27日にワユ語版ウィキペディアがついに誕生したというニュースを共有した件(訳注=記事名はWikipeetia süka wayuunaiki「ウィキペディアは手段ではない」)
    • ウィキメディア・ハイチ利用者グループはウィキメディア・プロジェクト群を対象にした投稿ワークショップ、国際キャンペーンやウィキメディアのイベント類への参加、ハイチのクレオール語による投稿の呼びかけなど実績を共有した件。
    • Wikiにあるもうひとつの歴史理論プロジェクトでは2022年プロジェクトと右記のテーマ別アプローチの一部を共有した件。グローバル・サウスにおけるジェンダー、性自認、人種、認識論
    • アフリカのウィキメディアンの焦点は「誤った情報と偽情報」に関する問題、特に財団と協力し、関連のある利害関係者との連携や、地域ボランティアの意識向上に取り組む件。またハブの構造と運動の組織統治(ガバナンス)に関して、対話を進めたいと関心を表明した。
    • 東アジア・東南アジア・大洋州(ESEAP)のコミュニティが一丸となる機会として、ウィキマニア2023の主催に期待する件。
    • ESEAPでは並行して地域ハブ創設に向けた努力を始め、立ち上げはウィキマニアとして2024年にはESEAPカンファレンスを主催する件、さらに地域に特化したコンテストとして「ウィキは地球が好き」Wiki Loves Earth や「ウィキは記念物が好き」Wiki Loves Monuments などを強化する。
    • ウィキメディア・オーストラリア協会の焦点は公平性と包摂性、利用者関与、能力開発(事務所の開設、評価、組織統治の実践)であり、3ヵ年戦略計画の初年度満了も間近な件。またパートナー関係との連携も強化、オンウィキの多様なコンテンツを増やす予定。
    • ウィキメディア・インドネシア協会の5ヵ年計画は間もなく発表の予定で、来年の焦点は利用者関与、パートナー関係、研究、能力開発である件。
    • ウィキメディア台湾協会の注力点はGLAMパートナー関係、法的擁護、小規模な母国語と協力して固有のウィキメディア立ち上げ支援である件。さらにパートナーについて顧客関係管理システム(CRM)も導入予定。
    • ウィキソースのコミュニティより関心が寄せられ、焦点はキャンペーンの「ウィキは古文書が好き」Wiki Loves Manuscripts の展開への支援強化である件。

コミュニティと個人のボランティアも、財団が今年、どのように関与と支援を強化できるかいくつかの提案を行いました。

  • ラテンアメリカおよびカリブ海諸国のコミュニティから要望あり、資金調達における提携団体とウィキメディア財団それぞれの役割と協力方法を明確にして安心を与えてほしい件
  • ウィキメディア運動における意思疎通をもっと理解しやすくするため、短い要約文ばかりではなく動画やインフォグラフィックその他の資格素材を増やす
  • どのような公開書簡であろうとも財団はローカルの提携団体とよく打ち合わせをしてから署名する必要がある件
  • ウィキメディアンのうちプロジェクトへの取り組みを理由に当局から迫害されている人を対象に、現地での支援強化が必要

統計

オンウィキの素材

ページ ページ閲覧数(ビュー)
年次計画のメインの草案ページ(合計) 30,935
年次計画のメインの草案のトークページ 1,652
マリアナによる年次計画の更新 & セリーナの聞き取りツアーの書簡 480 + 490
オンウィキのその他のページ 1,047
総計 3万4604(昨年の1万7千から203%増)

ライブの協議

日付 協議 参加者(推定) 通訳
2月 コミュニティ事案委員会の会合、「理事との対話 60 ES
3月23日 ウィキメディアと人工知能 100 ES
4月26日 グローバルな年次計画 88 FR, PT, ES
4月27日 グローバルな年次計画 111 AR, FR, PL, RU, SW
4月27日 「モデレーター」フォーカス・グループのワークフロー改善(スチュワード、委員会) 16 なし
4月28日 ウィキカンファレンス・インド 180 HI, UR, PA
4月30日 グローバルな年次計画 70 ZH, JA, ID
5月3日 「モデレーター」フォーカス・グループのワークフロー改善(ウィキメディア・コモンズの利用者) 12 なし
5月4日 「モデレーター」フォーカス・グループのワークフロー改善(未着手) 17 なし
5月5日 将来の観衆 16 なし
5月18日 コミュニティ事案委員会の会合、「理事との対話 30 要請なし

翻訳、通訳

言語の件数には、 準備中のところを含みます。

  1. 一部のデータは不完全。

責任ある関与

ウィキメディアンの皆さんには5月19日までウィキメディア財団との協働作業の機会を、オンウィキに加えてさまざまなリモートの対話の場に設けます。この協働作業を経て、財団の年次計画の最終案を公示します(会計年度自2023年7月1日至2024年6月30日)。

 
年次計画のまとめスライド。次の言語版あり。 (ar, zh, fr, hi, pt, uk, id, es, ru, sw, ja)

リモート会議の対話

対話とは、ウィキメディア運動参加者の皆さんが今後1年間の計画や意図を発言し、財団や他の参加者と共有する場であり、また皆さんには、財団年次計画についてさらに学んだり提案を投稿してもらう場でもあります。

コミュニティ参加者の皆さん、ご都合の合うときに参加型の対話に参加してください。リモート会議に参加したいが、通訳言語一覧にご希望の言語がない場合は手配に最善を尽くしますので、まずはメールにてご連絡をお願いします。宛先は movementcomms wikimedia.org です。

  1. 3月23日18:00 UTC:ウィキメディアにおける人工知能(AI)のオープン会議。(終了)
  2. 4月26日 :ウィキメディア財団との対話。通訳言語は英語、フランス語、 ポルトガル語、スペイン語。ミーティングのリンク カレンダーに追加(終了、記録はこちら
  3. 4月27日 :ウィキメディア財団との対話。通訳言語はアラビア語、フランス語、ポーランド語、ロシア語、スワヒリ語。ミーティングのリンク(終了、記録はこちら
  4. 4月28日:ウィキメディア財団との対話。Wikiカンファレンス・インドと対人型対話の時間を共催。当イベントの動画記録および議事録は、準備が整った段階で当ページにて共有の予定。 (終了)
  5. 4月30日 :ウィキメディア財団との対話。通訳は北京官話、日本語、インドネシア語。ミーティングのリンク カレンダーに追加(終了、記録はこちら

フォーカスグループによる対話

上記の全般的な対話に加え、ウィキペディア財団の製品・技術部門はいくつかの小規模なフォーカスグループの対話を開催しています。それぞれ、草案「目的と主な成果」文書の特定の部分について、そのOKRの影響を受ける可能性の高い人々を集めたグループと議論することに重点を置いており、以下が含まれます:

なお、これらの会話は包括的な内容を意図してないことを予めご理解ください。参加者の同意があれば、会議のメモや録音を共有する予定です。OKRに関するフィードバックは草案のトークページの関連セクションでどなたでもお寄せいただけます。

オンウィキで

年次計画の概要版は多言語に対応、各言語版のウィキペディアに掲載の予定です。全文は多言語版として当メタウィキのポータルに載せます。皆さんには5月19日までぜひご協力をお願いしたく、各言語版のトークページと、当メタウィキのトークページの両方にご注目ください。なお、左記のコンテンツは準備が整った時点で、当ページに掲載場所のリンクをまとめていきます。

製品部門と技術部門は「目標と主な成果」の草稿文書を用意しており、4、5月いっぱい、そちらの議論ページでフィードバックをお待ちしています。