ウィキメディア財団2019年中期事業計画/年次計画2021-2022

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ウィキメディア財団2019年中期事業計画

はじめに

ウィキメディア財団2021-2022年次計画は財団全体にわたる完成した共同型の作業を反映し、2021年7月期-2022年6月期にわたる会計年度(以下FY 21-22)における私たちの目標を定義します。ボランティアの皆さんと継続する協議、たとえば運動戦略プロセスならびに、私たちの長期的使命としてフリーな知識の促進に導かれたものです。中期事業計画をその包括的な枠組みとします。

このページには、目標リストや、アラビア語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、中国語の字幕がついたウィキメディア財団執行部のビデオを含む、計画全体の資料が含まれています。ご質問は、私たちのトークページと、月末に開催されるライブの年次計画会話にお寄せください。

今年度の計画では、活発な運動、そのためのプラットフォームの進化堅牢で包括的な財団の3つを優先事項として掲げています。

活発な運動、プラットフォームの進化、そして堅牢で包括的な財団というのは、「すべての人のために、知識を自由にする」という揺るぎない目標に向かって、互いに補完し合う取り組みなのです。

 
ウィキメディア財団 2021-22 年次報告

活発なウィキメディア運動

 
How we understand Free knowledge 27

21-22年度の「活発な運動」の最初の重点項目は、ウィキメディアンが遂行するために必要なシステムを入手することと、そのシステムで安全に遂行するためのツールと情報を確実に手に入れることです。

この方向性は、財団の中期計画を含め、長年にわたって財団、提携団体、ボランティアの活動に影響を与えてきた「運動戦略」によります。今年は、運動憲章、グローバル評議会、ハブ、リーダーシップ・トレーニングなどのガバナンスに関する重要な問題に取り組み、ユニバーサル行動規範の施行メカニズムを構築します。また、次のことも行います。

  • IPマスキングやいくつかの機能上の必要性の優先順位付けなど、信頼と安全のためのツールを進化させます。
  • コミュニティが戦略的イニシアチブを優先し、偽情報などプラットフォーム間に存在する課題に対処するための情報へのアクセスを提供します。
  • コミュニティメンバーが組織統治の役割を担うための準備を行い、グローバルな運動の多様な経験やアイデンティティを持つ人々が運動をリードするための準備を整えます。

編集コミュニティに貢献し、多様な新人を歓迎し、あらゆる貢献者を維持・保護し、運動の価値観を反映する、自立したシステムや、リーダー、自治の構造を構築する運動を支援します。

「活発な運動」という優先事項の中で、多様な貢献者をより歓迎することと、グローバルな成長を促すシステムを2番目の重点分野としています。今週末、当財団は新しい助成金戦略を発表します。この戦略は、世界中のボランティアや助成金受領者との幅広い議論を通じて構築されたものです。この戦略では、地域別の助成金支給にシフトし、助成金の意思決定へのコミュニティメンバーの参加を増やす予定です。

また、財団の助成金総予算を約800万ドル超から1560万ドルに増やし、運動戦略、地域プログラム、コミュニティリソースにわたって95%増加させる予定です。

この優先事項に対するさらなるコミットメントとして、私たちは新興コミュニティと協力し、ウィキ全体の成長を促進させます。ローカルコミュニティとに、ウィキメディアが現在十分に代表されていない世界各地の貢献者を歓迎する3つの試験的プログラムを開発します。これまで十分なサービスを受けていない人々が歓迎され、継続したいと思うかどうかがこれらプログラムの成否を分けることになります。最新の助成金プログラム、言語支援、ボランティアが参加することによってリスクに直面する地域における安全プロトコルを通じボランティアを支援し続けます。

全体として、今年度の新規投資の中で最も大きいのは、「活発な運動」への投資の拡大です。昨年度は1,430万ドルだった活発な運動の予算は、今年度は3,670万ドルとなり、2,240万ドル(157%)の増加となりました。また、財団の予算全体に占める割合も13.2%から24.5%に拡大しました。

プラットフォームの進化

 
FCAB GL26C-2 2005, 2010 and GT22CU-3 2402 Ascotan

私たちの技術システムが、公平でグローバルな成長を目指す私たちの願いを確実にサポートできるよう、「自由な知識の創造と共有において、世界のすべての人々を招待するためのプラットフォームとプロセスを確実に準備し、可能にする」ことに重点を置きます。これには、コンテンツをより機械的に読み取りやすくすることや、コンテンツ間の関係を利用する機能を拡張することも含まれます。私たちは、新興コミュニティの人々が、既存コミュニティの人々と同じレベルのパフォーマンスを確保できるよう取り組みます。また、ウィキメディアのアプリケーションデータを容易に発見できるようにし、コミュニティと財団によるデータに基づく意思決定、アプリケーション開発、研究を可能にするために十分な準備を整えるよう努めます。

堅牢で包括的な財団

 
Wikimedia Foundation All Hands 2020 – Myleen Hollero

もう一つの重点項目は、組織力の強化です。拡大する世界的な運動のニーズに応え、世界中で自由な知識を擁護するためには、堅牢で包括的な組織が不可欠です。自由な知識を擁護するために、私たちは巨大で複雑な技術的共同作業プラットフォームを維持し、ウィキメディアの公共イメージを管理し、ウィキメディアのコンテンツの読者と利用を促進し、ボランティアと関連団体のグローバルネットワークに資金を提供し、世界中で自由な知識を擁護しています。

今年も、多様な人材と包括的な職場づくりに向けた投資を継続します。これには、幅広い経歴を持つ優秀な人材の確保と採用が含まれます。また、包括性の取り組みに対するオーナーシップとアカウンタビリティを経営層全体に浸透させ、働く人が大切にされていると感じ、ベストの仕事ができる職場風土を強化します。

さらに、これまで目立たなかったグループを支援するため、ウィキメディア財団の全職員のために公平な結果を生み出す手助けをします。また、データに基づいた意思決定を行うための内部能力、特にコストを配分する能力、部門を超えた取り組みの影響を測定する能力の強化も目指します。

年次計画ビデオ

ウィキメディア財団の役員が、短編ビデオの中で、今年の年次計画について説明しています。字幕は多言語で提供されています。

年次計画をめぐる対話

各役員は、年次計画について、ローカルメンバーとのオープンな対話を主催しました。ローカルメンバーは、ライブで参加し質問することも、事前に質問を提出することもできました。これらの対話の記録は、以下にリンクされています。また、この会話から派生する質問は、このトークページで受け付けています。

対話記録

タイトル 話者 書き起こし 録画
年次計画対話 - 法務部、タレントとカルチャー部 Amanda Keton (General Counsel), Maggie Dennis (Vice President of Community Resilience and Sustainability), Vignesh Ashok (Vice President of Global Equity, Diversity and Inclusion), & Robyn Arville (Chief Talent and Culture Officer) コモンズ上のファイル 録画を観る YouTubeCommons
年次計画対話 - プロダクト部、技術部 Toby Negrin (Chief Product Officer) and Tajh Taylor (Vice President of Data Science and Engineering) コモンズ上のファイル 録画を観る YouTubeCommons
年次計画対話 - ファイナンス部、アドミニストレーション部、アドバンス部 Jaime Villagomez (Chief Financial Officer) and Lisa Seitz-Gruwell (Chief Advancement Officer) File on Commons 録画を観る YouTubeCommons
年次計画対話 - コミュニケーション部 Anusha Alikhan (Senior Director of Communications) and Mayur Paul (Director of Movement Communications) File on Commons 録画を観る YouTubeCommons

年次計画 目標: 重点分野

中期計画に関連するすべての組織目標を、中期計画の重点分野ごとに整理した一覧表

  活発なウィキメディア運動

重点分野: ウィキメディアンが遂行するために必要なシステムとツールを確保すること。

  Objective 1: Wikimedians will have collaboratively and equitably built systems of governance to support effective movement management.
  Objective 2: Our platform and our contributors will be better protected with improved movement management & curation tools (software and practices).
  Objective 3: Wikimedians will have equitable access to key resources and information needed to advance movement goals.

Focus area: The Wikimedia world will become more welcoming to diverse contributors with systems encouraging global growth.

  Objective 1: New contributors in underserved communities will feel welcomed and successful and continue to contribute over time.
  Objective 2: Contributors in underserved communities will be empowered to grow and drive forward movement goals through grants, information, language and communication support and regionally oriented safety protocols in high risk areas.

  プラットフォームの進化

Focus Area: Provide technical systems to support equitable, global growth of our content and movement.

  Objective 1: Our platform and processes are ready and able to invite all of the world's population to join us.
  Objective 2: People in emerging communities have the same level of performance for their contribution workflows as those in established communities.
  Objective 3: Wikimedia application data is easily discoverable and well-prepared to enable data-informed decision making, application development, and research by the community and the Foundation.

  堅牢で包括的な財団

Focus Area: Create a diverse workforce and inclusive workplace informed through data for continuous improvement.

  Objective 1: Foundation leadership have access to organizational data, insights and dashboards for impactful decision making.
  Objective 2: All staff will have access to engaging, accessible learning opportunities that drive the needed skills and capabilities for our mission.
  Objective 3: Foster a diverse, inclusive environment for staff which encourages and supports optimal engagement.

  他のイニシアチブ

世界の閲読者

  Objectives: Increase site utility amongst readers; Maintain utility for our existing editors; Ensure our content has a positive, meaningful impact on people's lives.

ブランド認知度

  Objectives: Strengthen the worldwide narrative of Wikipedia; Increase brand awareness of our projects and our social good mission in new markets so people join our movement.

Global Advocacy

  Objectives: Expand access to knowledge and champion fundamental rights online by influencing policymakers and inspiring the public to advocate for our agenda.

年次計画 目標: 他の分野

A list of other objectives outside the Annual Plan focus areas. Much of this represents continuing areas of work from previous years.

Extended content
  1. コミュニティのプログラム - 運動全体にあるドメイン特定の実践型コミュニティ(教育のEduWiki、文化機関のGLAM-Wiki、コンテンツキャンペーンの主催者)は恒常的でグローバルにアクセス可能な支援を受け、それぞれのプログラムの影響を広め、知識の交流や共同作業の発現を促しています。
  2. 募金活動 - 財団資金$144.8百万を集めてウィキメディア運動の繁栄に必要な資金を確保。
  3. 基金 - $10百万を基金に集めてウィキメディアの長期的な資金安定性を確保。
  4. 提携関係 - WMFと外部の実態との提携関係を促進し年次計画を支え、WMFがフリーな知識のインフラとして果たす役割を開発。
  5. 技術コミュニティの構築 - 技術系コミュニティは活動が旺盛で、アプリケーションを発見し作り上げ実践する明確かつ揺るぎない方策を備えており、コミュニティの作業手順(ワークフロー)の支援、コンテンツ作成と消費の新手法の創発を実現し、さらにはウィキメディアの API 類とデータにコアのウィキ経験を上回る影響力を付与。
  6. 文化、公平性、チームの慣習:現代型で包括的な実践 - 現代のソフトウェアの慣習と包括的な意見交換の慣習により、加入と共同作業の障壁を取り除くもしくは引き下げ、ウィキの生態系に参加する技術系貢献者に対して導入を簡略化し、発明の過程を早める。
  7. 優秀なプラットフォーム:堅牢さ - 私たちのサービス、インフラ、データは悪意のあるなしに関わらず予想外の事案に対して堅牢であり/または迅速に回復。
  8. データ破壊 - データ破壊の方針をシステムに組み込み実践。
  9. 計画立案 - 計画や戦略を立案し財団を戦略的方向へ導く。
  10. 事業運営の改善 - 事業と運営手順の効率性と有効性を改善し投資対効果を最大化、リスクを軽減、組織としての価値を反映。
  11. 作業環境 - 作業環境は生産的で包括的、持続可能。
  12. Executive Leadership - Create a high-performing Office of the Executive Director, that drives engagement, velocity, and growth, including an efficient and effective C-Team and an engaged and performant Board of Trustees.
  13. 組織統治、リスク管理、説明責任 - 財団と運動は私たちがするべき仕事を実行するよう組織されています。
  14. Risk Management Program - Deliver effective organizational risk oversight and management program to recognize and respond to threats and opportunities.
  15. Financial Management, and Compliance - Manage our financial resources to enable the Foundation to achieve our programmatic objectives in compliance with all regulatory filing requirements to satisfy our tax exempt charitable status.
  16. Support Services 2.0 - Support services across the organization are aligned, equitable and creatively scaled and developed to meet the dynamic and growing support needs of our nonprofit organization.
  17. Internal Enterprise System Improvement - The Foundation’s Enterprise Systems are managed and enhanced in order to support a globally distributed workforce.
  18. All-Hands and staff convenings - Assemble staff in come together to celebrate successes, collaborate on work deliverables, and have fun.
  19. 採用活動 - 全地域を代表する多様な候補者を包括的な手法で引き寄せます。
  20. Talent and Culture Partnerships and Support - Enhance the Talent and Culture team's capabilities, efficiencies and service excellence in order to establish the department as a trusted partner and reliable support to leaders and to staff.
  21. Employee Experience - All managers will be empowered with a suite of clear and optimized talent processes that enhance effectiveness of individual and organizational performance.

予算

下記の予算の情報は年次計画に基づいており、ここに翻訳の便宜を図るため転写します。詳細は計画自体をご参照ください。

注視するべき予算増額部分

Total Expenses graph: Factoring in regular grants that are returning in this budget cycle, the full cost of staff hired mid-year, the return to limited travel and other costs create existing investments of approximately $125M. This will be complemented with new investments of approximately $25M. Total expenses will increase 34%, from $112M to $150M. In terms of new investments, the largest part is the increase for Thriving Movement.

Thriving Movement graph: The growth in Thriving Movement expenses reflects a large increase in grants to the movement along with additional investments in our Thriving Movement focus areas. It also reflects existing internal resources being redirected toward Thriving Movement objectives. Investment in Thriving Movement will increase 157%, from $14.3M to $36.7M.

Platform Evolution graph: The growth in Platform Evolution is to provide technical systems to support equitable, global growth such as through the addition of a caching center that serves Africa and the Middle East, as well as investing in the technical future of our projects. Investment in Platform Evolution will increase 329%, from $2.4M to $7.9M.

 
支出合計
FY20-21 Projection versus FY21-22 Budget

 
Thriving Movement.
FY20-21 versus FY21-22

 
Platform Evolution.
FY20-21 versus FY21-22

In US$ million FY20-21 Preliminary Projection
(as of July 15, 2021)
FY21-22
収入合計 157 150.0
Programmatic Expense 83 114.6
資金調達 14 16.4
General & Administrative 15 19.0
支出合計 112 150.0

助成金予算の増額

助成金支給の予算はFY21-22で 95%増となり、財団の予算総額の伸び率34%増よりも急速な増額です。

 
助成金の総額(単位:百万アメリカドル)
  助成金予算   支給額推計   支給実績


FY21-22の助成金増額分は以下を含みます。

  • 新規助成戦略の資金として
  • すべての地域を対象に予算を増額し、最大の伸び率はアフリカ、アジア、ラテンアメリカ、中東を対象とする
  • 運動戦略実践の資金として

注記: FY20-21の助成金は支給実績よりも予算額が上回りました。コロナ禍の影響が受給者のプログラムや運動のイベントに及び、その結果、受給者の中には前年度よりも申請額を引き下げたり/あるいは計上予算より支出実績が下回りました。
いずれの金額も受給者に対して支給した時点で示し、また アメリカ合衆国法GAAP、すなわち予算報告の他の図表で用いたものに準拠した支出時期とは必ずしも対応していません。一例として、FY20-21(図中の2021年)の一部は2020年の支出として記録してありますが受給者への支払いは2021年に実施、そのためここでは2021年に記してあります。さらに、2021年の金額は最終案以前の推計額です。

‎助成金の詳細については、以下を参照してください.

プログラム上の比率

投資の優先課題はプログラムの成長

 
2021-22会計年度予算
  事業別   一般ならびに運営   募金事業

事業別の予算仕分けは、中期計画に規定のあるすべての業務を対象とします。

  • Worldwide Readership,
  • Thriving movement,
  • Platform evolution,
  • Brand awareness, and
  • Global Advocacy.

Plus our other work in:

  • Mission Support
  • Technical Infrastructure
  • Shared Services

内訳: 事業単位

The Thriving Movement budget increased from $14.3M last fiscal year to $36.7M in this budget which represents an increase of $22.4M or 157%. Thriving Movement has grown from being 13.2% of the Foundation’s overall budget to 24.5%.

Technical Infrastructure includes all the engineering and technology needed to build and maintain our projects, platform, and internal infrastructure that is outside of our Medium-term Plan priorities like Worldwide Readership and Thriving Movement.

Shared Services include the functions that enable our other work, like Research, Communications, Operations, and Governance.

Mission Support includes the work we do in grants, partnership development, legal support, and community outreach outside of the MTP Priorities.

運動の繁栄 24.5%
技術とインフラ 23.8%
堅牢で包括的な財団:一般および管理 12.6%
共有するサービス 12.0%
堅牢で包括的な財団:募金活動 10.9%
プラットフォームの進化 5.3%
ブランド認知度 3.4%
使命を支援 2.9%
世界の閲読者 2.5%
Global Advocacy 2.1%