ウィキメディア財団コミュニティ事案委員会/話し合い:2024
「話し合い:2024」※へようこそ、運動体として将来計画を立てる私たちは対話という形で共有、傾聴、学び合う機会を持ちたいと考えます。対話の話題なら、議論のページへどうぞ。以下の詳細もご覧ください。("※"=Talking: 2024)
近日、マリヤナ・イスカンダー(ウィキメディア財団CEO)より共有したこのメッセージでは、ウィキメディア運動が直面する課題とニーズを理解しようと実施した、2021年着任当初の第1回の聴き取りツアーから現在までの進展を振り返りました。
2年が経ち、私たちのコミュニティも世界も大きく変化しました。ここで述べる一連の話し合いとは、すべての人の期待に応えることは不可能だとわかった上で、適切な情報を適切なタイミングに適切な方法で伝えるために、もっと力を注ぎ、なおかつ意図的に取り組むことを目指します。また年間を通して話し合うことも大切であり – それは公式、非公式を問いません。
今後の数ヵ月にわたり、コミュニティ事案委員会、ウィキメディア財団幹部とイスカンダーを担当とし、以下のご質問にお答えします。2024年に起こる重要な出来事について、財団の年次計画について、あるいは私たちの長期的な優先事項について、皆さんはどのように考えておられますか?
話し合いましょう
どうぞご参加くださいますよう、お願いいたします。オンウィキとオフウィキのどちらでも、また理事会理事、財団職員の幹部や私自身との個別面談のご参加も選んでいただけます。
— ウィキメディア財団最高経営責任者(CEO)マリアナ・イスカンダー(Maryana Iskander)
「話し合い:2024」に参加を希望される場合は、「登録する」ボタン※1を押し、開いた書式に必要事項を記入して送信、その後はご自分のトークページへの通知、あるいは個人設定※2で「Allow other users to email me」を有効にしてお待ちください。追ってウィキメディア運動広報連絡チーム※3よりご連絡を差し上げます。(※:1="sign up here"。2=個人設定→通知→以下の場合に通知を受け取る。3=Movement Communications。)
メールのご連絡は、movementcomms wikimedia org宛にお送りください。面談は個別もしくはグループ面談に誘いたい利用者があるか、ご指定願います。あるいは面談の相手に財団側の特定の誰かをご指名されますか? 話し合いは英語がよろしいか通訳を手配した方がよろしいでしょうか? 加えて、ご参加いただける日時を複数、ご提案ください。いずれかの日程になるよう調整に努めます。
ではお話しできる時を楽しみにしております。
2023年10月情報更新ならびに2024年を語る場への招待
皆さん、こんにちは。
ウィキメディア財団で働き始めて以来、私はこのページやその他で定期的に皆さんに更新情報をお届けしようと努めてきました。今回のお知らせは世界各地で戦闘状態の緊迫、衝突の激化や異常気象が毎週のように報じられ、流動的な事態が世界各地で発生し不確実性が高まっているときにお送りすることになることを内心、気にかけています。今こそお互いの距離を縮めるときだとお勧めしたく、どうか終わりまで目を通して、私や財団の幹部層との対話への参加をご検討いただけませんでしょうか。
元をたどると……
2年前の今月、私は財団着任に備えて傾聴して学ぶ過程を始めました。個別にお話をした55の国・地域の300名の皆さんに、また数々のコミュニティのイベントで、ウィキメディアの理想と使命について皆さんにいくつもの質問をしました。私たちが世界から今、何を求められていると信じているか、そのゴール達成を阻むものがあるとするならそれはないか。ここから導き出したのが5つの〔パズル〕であり、将来も私たちを悩ませ続けると思います。
その時に唯一の共通理解となる主題があり、私たちの作業に喫緊のニーズがあって – そして現在に至って、前以上に差し迫ってきました。偽情報・誤情報がはびこるに連れて、地球上のあちこちの社会で二極化が進み衝突が緊迫する今、ウィキメディアのプロジェクト群は開かれた知識ならびに中立性というコンセプトに献身しつづけています。私たちの貢献に喫緊のニーズが向けられ必要とされていることに疑いの余地はありません。
私たちの成功は世界に期待されており、それは私たちが暮らす現在の世界を見つめる私にとても響きます。私たちのコミュニティには私たちの周囲で起こっていることに集中するところがあっても、総体としての私たちはその主題にもその他の共通の脅威にもきちんと団結して対応できていないのではないでしょうか。
2021年の会話とは、ボランティアの皆さんが あらゆる貢献を考慮するとはどういうことか、多言語主義という私たちの立ち位置をスーパーパワーに列するほどにできないか、そして問いと答えがループしつづけるパズルとして集権化された組織が中心から遠いプロジェクト群をどう支援するのか 、お考えを聞かせてくださったおかげで形を得たのでした。中でも人が主体の運動を技術で実現するには、〈技術対応〉を強く促進しようとする私たちが現在、どんな状況にあり、理想に対して抱えた格差はこうすれば縮められるのではないかというお考えがとても貴重でした。
現状とは……
その後、私はウィキメディア財団自体の業績と信頼性に主に取り組んできて – 利用者の皆さんは言うに及ばず、対象は読者や寄付者、私たちに法的規制を与える相手やパートナー機関を対象に考えてきました。2023年初に自分で評価したところ、進む方向はより正しくなってきたと出ました。当財団の年次計画は運動戦略に沿いボランティアのニーズにより即応するように組まれ、世界の地域との意思疎通に用いる言語の数をほぼ3倍に拡大しましたし、製品と技術の優先事項を再び主体化することで、急速に変わりつづける知識のエコシステムへの対応を進めてきました。
単年度の目標は明確に定義し、しっかり達成もしなければなりません。ところが私たちの作業には1年限りではなく長い時間軸が必要であり(time horizon) – 展望は2030年に据えていますから、すると私論ではありますが資源の成長鈍化や現在の協働モデルを机上に置き現実的な合意を築くには、今後7年間に何が達成できるか、優先順位や制約、トレードオフ(一得一失)もさらに厳しく問い直しが求められます。
時間軸の問題からウィキメディアは果たして1世代だけの奇跡なのかという疑問へも導かれ、将来の世代に提供しようとするなら、ウィキメディアを永らえさせる方策を私たちは知っているのかと考えさせられます。私たちの使命は、この仕事を永遠に続けるよう求めていますし、私たちのプロジェクト群の特定の要素はすでに電子的な足跡を世界に刻んでおり、それを消すことは不可能に思えます。しかしウィキメディアは多世代のものであるという視点に立ち、今から私たちがしなければならないこととは? それは高邁な声明に酔うことなく意思を持って課題に意図的に取り組むことであり、その課題とは私たちのプロジェクトに多世代の視点をもたらしその焦点が現在および将来にわたってより明確にする役に立つものの追求です。
重大な質問の一部(全体ではない) ……
具体的な対策案はまだありませんので、ぜひ皆さんのお考えをお聞かせください(詳細は後述します)。私の側では理事会と財団幹部に、まず糸口となりそうな3つの課題について複数年の計画目標を立てるよう依頼しておきました。
(1)第1の課題は、ウィキメディアの財政モデルについて、私たちの使命をどう進めるか。将来予測によると、オンラインならびにバナー掲出を使った募金活動はさまざまな理由により、過去の実績ほどの伸び率を保たないだろうとされています。私たちにはこのリスク回避と同時に収入源を多元化する目的で進行中の長期的な取り組み(イニシアティブ)が複数あります。
- ウィキメディア寄付基金(Wikimedia Endowment)の直近の更新情報には、これがプロジェクト群を長期的に支える上で果たす役割を述べてあります。
- 並行して、ウィキメディア・エンタープライズ(収益事業)の可能性を今後も検討し、私たちのウェブサイトにとどまらず読者の利用体験を改善しつつ、同時にコンテンツを非常に大量に再利用する法人からウィキメディア運動への財政支援を取り付けようとしています。
- 支出面の対策では、財団自体の成長率を少し下げ、また財団本体以外の運動の実体への資金源を増やしました。
年次計画を効果的に実施するには、私たちの望むことと資金を一致させる長期的な財政モデルが必要です。
(2)第2の課題は、製品と技術の優先順位において、この予算年度はウィキメディアの投稿者の技術ニーズに焦点を当てています(拡張権限から編集初学者や学術専門機関であるGLAM組織との提携関係まで広い範囲にわたります)。具体例をご紹介します。
- 当年の年次計画にまとめた全体的な目標とは、コミュニティによる評価期間を経て、なおかつ財団に着任したセリーナ・ディッケルマン※1製品・技術部門責任者※2にボランティアの皆さんから直接、寄せられた意見を受けた後に決定したものです。(※:1=Selena Deckelmann。2=Chief Product & Technology Officer。)
- 拡張権限を持つ編集者の皆さんが提起された重要な優先事項に取り組んでいます。これを支持するため、新規作成ページ巡回※のソフトウェア改善に関して、Android 版アプリ内に編集巡回用ワークフローを開発し、新人が十分に典拠を添えた編集をするようガイドするシステムの構築、さらにコミュニティごとの機能構成によって独自のニーズに適合させる機能の開発を盛り込みました。("※":1=New Pages Patrol。)
- ウィキメディア・コモンズのサポート強化においてThumbor(訳注:サンバー)へのアップグレード、OpenRefine(訳注:オープンリファイン)対応およびその他の施策を含めました。また人間にとってもっと読みやすく国際的に理解しやすいバージョンを求める要望に応え、知識を無料で利用できるようにウィキペディアが採用するクリエイティブ・コモンズのライセンス最新版に移行済みです。
- コミュニティ技術要望リストのプロセス見直しと改善※に取り組み、多様な利用者、増大する技術的複雑さのニーズをもっと適切に処理し、財団の製品・技術チームと技術ボランティアの協力をより緊密にします。要望リスト調査の結果の2022年版と2023年版は、私たちがリクエストに最も関連のある技能と専門知識をどのように結集したかを示しています。たとえばコミュニティ技術チーム※2は段落分割の差分処理の改善を提供 – これはコアな編集体験を改善する一連の反復型機能※3で最も需要の多いものの1つであり – 読者のためのダークモード – これは現在、Web チームが担当しています。私たちは技術要望受付に関してさらなる協働を続けて柔軟で持続可能な対応システムを構築していきます。("※":1=community wishlist process。2=Comm-Tech。3=iterative features。)
- ウィキメディアのプロジェクト群に対する技術ホストという役割において増大する規制および法的義務を遵守し、これにはウィキペディアを超大規模オンライン・プラットフォーム(VLOP)に分類するデジタル サービス法※の追加要件やother 今後の規制が含まれ、ウィキペディア独自のコミュニティ自治モデルを提唱していきます。("※"=Digital Services Act categorizing Wikipedia as a Very Large Online Platform (VLOP)。)
- 生成人工知能に関するコミュニティ内の会話を促進すると同時に、機械学習(ML)のインフラを最新化しプロジェクトごとの使命に合わせた ML ツールの使用に対応させます。対象範囲にはオフプラットフォームのChatGPT(チャットジーピーティー)のような人工知能補助機能(AI アシスタント)を介して、信頼できる検証可能な知識を提供できるかどうか、またその方法を試す実験を含めてきました。また実験項目には、小規模ウィキ・コミュニティが編集を受けたときに自動管理する支援として機械学習をどのように使用できるかも含めました。
- 新しい翻訳サービス – MinT を介してオープンな機械翻訳により、サービスが行き届いていない言語への支援を強化、このサービスは機械翻訳が初めて導入された44言語を含めて言語200超に対応しています。
- 一方で将来のロードマップについて一緒に考え始め、他方でMediaWiki ソフトウェアの管理と支援に対して、より多くのリソースを投入します。
- 知識の公平性への取り組みの一環として、南アメリカに新しい研修センターを追加して、この地域における現場の対応力を高めようとしています。
- キャンペーンおよびイベントの主催者の機能拡張については、イベント登録機能を改善し、主催者がキャンペーンの情報を広める方法を始めました。
- 読者向けの改善は、ダークモードと文字サイズの制御を用いた読書体験を独自にカスタマイズできる機能などを導入しました。
- いつも時間を潰している場所(例えばTikTokやInstagram Reels)でリッチメディア型のアプリに慣れた人たちを私たちのプロジェクトに招き入れ、世界の若者に無料の知識を共有する方法を実験してみること。
- 安全に関しては機能を優先し、一方で事案通報システム※の初版により編集者が嫌がらせ行為を直観的に報告できるようにすること、他方でウィキメディアのプロジェクト群全体で参加者の安全性と包摂性を高めるためコミュニティ主導のユニバーサル行動規範施行システムを確立することが含まれます。("※"=Incident Reporting System。)
(3)締めくくりに、私たちは財団の中核的な役割と責任を定義する原則を評価しています。運動としてクラウドソーシングの強みが基盤であり、目標達成に向かう役割分担の最善策はどうなるでしょうか? ここで目指すことは、運動憲章の審議を支援することであり、私たちの意思決定と統治構造(ガバナンス)における課題を直接に特定することです。
- 今になって、追加の実体を設ける理由は何ですか、またこれらの目標達成には他の実体の目的変更や閉鎖で対応できませんか?
- 財団が手を引くべき、もしくは他に委譲すべき役割はあるでしょうか?
- 技術面の意思決定をもっと迅速化するには、どうすればよいでしょうか?
- 提携団体の構造に参加しているか否かにかかわらず、世界中の投稿者が自分たちの視点やニーズを効率よくまた効果的に発言するには、どうすればよいでしょうか?
- 私たちの運動や私たちの周囲の世界のニーズの変化を評価し、反復し、適応し続ける場所はどこで、どの方策を採用するべきでしょうか?
申し上げるまでもなく、これは対処する必要のある問題すべてを網羅した一覧ではありません。これは出発点であり、重要な主題として長期的な視点が必要だと私が考えるものです。これ以降の節では、私たちがここからどう進歩すれば良いか理解するため、皆さんにどんな協力をお願いしたいかお示しします。
話し合い:2024へのご招待……
この2年間、ウィキメディアの功績を学んできたわけですが、それと並行して私たち独自の協働の方法を知ろうと自分のエネルギーのかなりの部分を注いできました。私たちの使命を実現するには、実はオンウィキでもオフウィキでも、共通理解を目指すように設計され、叶うことならより信頼を高め合う、そんな人対人の関与がもっともっと求められています。隔離から対面型の集会が復元できたため、ボランティアの皆さんにはなくてはならない場として同じ部屋で関係性を復活させたり、やる気を取り戻したり、手ごわい課題に取り組むグループ活動を実施したりなどが可能になりました。当財団の幹部も組織内の情報を共有すること、オンウィキを含むデジタルなフォーラム類で個別面談を導入したことなど、皆さんの勢いに遅れを取るまいと努力してきたつもりです。
目標は、もっと意図的に正しい情報の伝達に取り組み、たとえすべての人の期待に応じることはできないとわかっていても、適切な時期に適切な方法で実施するよう注力することです。
お互いと会話を交わすのは一年のうちのどの時期にも大切で – 公式の面談から気軽なおしゃべりまで形はどうあれ。これを実現するには、今後の数ヵ月を費やしてウィキメディア財団の理事各位や職員に向け、いくつかのパターンで展開する聴き取りツアーに参加するように依頼しています。双方向の会話として設計し、利用者の皆さんが今、考えておられることを傾聴すること、そして私たちからは複数年の年次計画における進捗状況と発想を共有していきたいのです。
時間をかけてお互いの理解を深めるため、以下の文脈を対象にします。
- 2024年に実施する一連の行事(例:重要な複数の選挙、運動憲章、ユニバーサル行動規範の施行、デジタル・サービス法のコンプライアンス要件※、世界の法務者はデジタル技術が一般社会に及ぼす影響に疑義を抱いており、それにどう対処するか。("※"=compliance requirements for the Digital Services Act)
- 年次計画は2030運動戦略の目標に呼応し、「知識の公平性」、「サービスとしての知識」を取り入れます。
- より長期にわたる自問自答を行い、私たちのプロジェクト群を確立して将来世代へとつなぎます。
- 皆さんが考え付くことも含めましょう!
どうぞ皆さんもご参加を決めてください。お申し出の受付は10月から翌2月、窓口はオンウィキとオフウィキのいずれかを使っていただき、この期間に理事会理事や私自身ほか財団の幹部との個別の面談も実施します。これらの面談には、来年3月に開く理事会の戦略計画合宿(リトリート)にて審議の改善に役立てる意図があり、またお聞かせ願った内容をまとめて3月までに皆さんと共有する予定です。
ウィキメディア財団ではより関心を寄せた傾聴と共有こそ私たちの姿を形作るものであると重視しており、参加してみようかと思われた人はどなたもやはり同様の取り組み方をしてくださるよう期待しています。
いつも申し上げているとおり、皆さんのご意見ご指摘ご質問は私のトークページに投稿されるか、直接、メールにてmiskander@wikimedia.org 宛てにご連絡くださるのをお待ちしております。
草々
マリアナ・イスカンダー(Maryana Iskander)
ウィキメディア財団最高経営責任者(CEO)
関心を寄せたウィキメディアン
話し合い:2024 統計
2024年10月月時点で連絡を取ったウィキメディアンは218名を数え、そのうち158名とつながりました。これらの統計は3、4ヵ月単位で更新を重ねる予定です。
こうした会話を世界のあらゆる地域に広げてきました。私たちがさまざまなことを学んだ相手は、コミュニティの投稿数が多い参加者から参加が最近から始まった初学者まで、技術ボランティアからスチュワードまで、イベント主催者から提携団体の幹部まで、じつにさまざまです。これらの議論の目的は、3月に実施した理事会の戦略計画合宿で審議の改善を図ることにあり、これまでに寄せられたフィードバックの一部をこちらでまとめてご紹介します。
地域単位の分布
地域 | 割合 |
---|---|
アフリカ | 13% |
中東・中央アジア | 17% |
ESEAP 東アジア東南アジア大洋州 |
12% |
ラテンアメリカ諸国ならびにカリブ海地域 | 10% |
中東とアフリカ北部 | 6% |
北アメリカ | 17% |
ヨーロッパ北部と西部 | 20% |
南アジア | 5% |
話し合いの相手はどんな人?
- 25% は既存の話し合いツアーの続き
- 50% は運動コミュニケーション・チームその他、財団内部からの指摘
- 25% はオンウィキで登録。
私たちは、すでに受け取ったすべての有益なフィードバックにあなたの声を加えたいと思っていて — 私たちは耳を傾けており(オンウィキで、1対1の対談、小グループ会議、対面型の聴き取り)、聞かせてもらったことは財団の長期的な活動計画に波及するでしょう。話し合いにすぐにご参加を検討願います。