Grants:Programs/ウィキメディア研究技術基金/ウィキメディア研究基金
助成の対象
研究基金(Research Fund)の支援対象はウィキメディアのプロジェクト群に関する、もしくはその関連を研究の対象とする個人、グループ、組織とします。申請は研究分野の敷居に関わらずお薦めしており、人文科学、社会科学、計算機科学、教育学、法律学を含みこの範囲に限定しません。研究助成金への応募の途が閉ざされがちな申請者、直接に肯定的な波及効果をそれぞれのローカルのコミュニティに及ぼす企画提案を支援する所存です。
研究助成金への応募の途が閉ざされがちな申請者、対象地域が世界でもウィキメディアの研究コミュニティがまだよく認識されていない地域である場合、また提案した企画が直接に肯定的な効果をそれぞれのローカルの、もしくグローバルなコミュニティに及ぼす場合、優先的に支援する所存です。
何が助成の対象か
歓迎される企画提案とは、その成果によって私たちがウィキメディアのプロジェクト群とその影響について理解を深めたり広げたりする綿密な企画、技術および社会技術の解決策を紹介してウィキメディアのプロジェクト群を支える技術の強化につながる企画、ウィキメディア運動を2030戦略的方向性へと前進させる企画です。また並行して、ウィキメディアのプロジェクト群を対象とする研究者のコミュニティの拡充と多様化に取り組む企画も支給対象として考慮します。研究と関連のない企画は、ウィキメディアコミュニティ基金やウィキメディアアライアンス基金※1、さらに今後、募集予定のウィキメディア技術基金※2など、他の資金源を参照してください。(※訳注:1=ウィキメディアコミュニティ基金 Wikimedia Community Fund、ウィキメディアアライアンス基金 Wikimedia Alliances Fund。2=ウィキメディア技術基金 Wikimedia Technology Fund。)
資格基準
- 個人、グループ、組織が申請できます。各個人は同一の支給期間に3件を上限として申請できます。対象は迅速助成金を含みます。グループもしくは組織の申請は同じく5件を上限として申請できます。
- 申請額は2千アメリカドルを下限とし、上限を5万アメリカドルとします。
- 受給期間は12箇月を上限とします。 提案した企画は2023年6月1日以降に開始し、2024年5月31日以前に完了するものとします。
- 申請者は報告要件に同意し、助成金契約書に進んで署名し、ウィキメディア財団に助成金支給に必要な情報を提示することに同意するものとします。 申請要件の詳細はこちらをご参照ください。
- 調査基金の受給者には全て友好的であるべき空間の方針ならびにウィキメディアのユニバーサル行動規範を遵守していただきます。
- 申請書と報告書は英語ならびにスペイン語で受け付けます。
- 申請を検討される際は、以下の要件の1件でも満たす場合、企画のご応募を禁じます。
支給対象国・地域の要件は、詳細を過年度の支給対象国・地域の一覧をご参照ください。
申請書と手引き
事前に必ず個人情報保護の声明をご検討いただきます。申請書は「EasyChair」(イージーチェア=第三者作成のプラットフォーム)を使って提出するものとします。皆さんには詳細な利用者プロファイルを完成していただくようお願いしており、この情報をもとに適切な審査者の割り当てを行うためです。申請書の提出に際して、1名以上の執筆者に Easychair の利用者アカウントを開設していただきます。
EasyChair を介した申請には、次の情報の入力をお願いします。
- 申請者全員の氏名、電子メールアドレス、ウィキメディアの利用者名 (該当する場合)。
- プロジェクトに関与するボランティアや助言者を含む、その他すべての人員の氏名/利用者名、(この申請案件における)役割、所属機関、居住国(任意)。
- 申請する企画の題名。
- 申請するプロジェクト案の目的とアプローチを含めた説明(2500文字以内)。
- おおよその予算額、米ドル換算。
- 予算概要(500 文字以内)。
- 研究がウィキメディアの2030年戦略的方向性に対応する割合、および/または提案の企画がウィキメディアの利用者グループや提携団体および開発者コミュニティの活動をどの程度サポートするか、つまりウィキメディアのプロジェクト群に対して及ぼす影響と関連性の説明(750 文字以内)。
- これまでの実績として、関連する学術および/または研究プロジェクトの実施、および/またはウィキメディアおよびフリーな文化のコミュニティに寄与した事績など。該当しない場合は、提案する研究企画がもたらす貢献の説明(750文字以内)。
助成の方法
申請プロセス
- 第1段階
- 研究基金の申請受付に対して、皆さんから提案書を受け付けます。 受け付けた提案書は全件を公開、コミュニティ参加者ならびに地域基金委員会からフィードバックを集めます。こうしてコミュニティから寄せられた意見を考慮に入れ、研究基金委員会と審査員は提案書全件を評価し、その後、上位の申請者には次の段階において、提案書の完全版を提出するようお勧めします。 技術審査者は提案書全件を評価します。上位の提案申請者には次の段階に進むため、完全版の提案書を提出するようお勧めします。
- 第II段階
- 最終選考に残った申請者の中から、上位の皆さんに詳細な予算書と企画書の完了形を提出することと、審査員、コミュニティの参加者、地域基金委員の質問へ回答をお願いします。対象者には、企画書を完了形にする方法と提出手段をご連絡します。 これらは公開情報として見える化します。
審査の手順
審査にはシングル・ブラインド(単盲検)という審査過程を採用し、申請者の身元は明示し、研究基金委員会の審査員は匿名とします。技術審査委員会の担当者は潜在的な利益相反を避けるため、各提案に関連する専門知識を委員長に自己申告します。提案書は審査担当者と技術委員長が議論を交わします。各提出物に対して、複合評点と技術委員長による包括的な講評を付けます。提案書ごとに3回以上の技術審査を実施、必要な場合は地域ごとのウィキメディア地域基金の7委員会のいずれか1件もしくは複数の意見聴取、さらに関連するウィキメディアの国別・地域別協会または利用者グループから意見を受け付けます。提案書ごとに、メタウィキに構造化されたフィードバックの過程を作り、ウィキメディアのボランティアのコミュニティから一般の意見受け付けを可能にします。最終決定は研究基金委員長の裁量によりますが、それには技術審査委員長の勧告ならびに地域基金委員会およびウィキメディアの広範なコミュニティのフィードバックと意見を考慮します。
申請案件は審査員と各委員長の協議にかけ、地域基金委員会とボランティアのコミュニティの意向を考慮します。最終決定は研究委員長の裁量とします。
選考基準
以下の基準により提案の選択を行います。
- 研究。提案する企画の第一次の焦点は研究もしくは研究コミュニティの設立とします。ご留意点として、アウトリーチやコミュニティ設立、技術開発・展開、機関の支援その他、純粋な研究ではない課題を主眼とする場合、ウィキメディア財団が掌握するその他の基金から受給することになります。
- 関連性。研究の課題はウィキメディアのプロジェクト群自体またはその関連、またはウィキメディアのプロジェクト群に対して重要性が優れたものとします。
- 影響力。申請された研究の成果が貢献して、ウィキメディアのコミュニティが意思決定をしたり行動を起こし、顕著な影響を実現しやすくなる企画を優先する所存です。特に配慮する申請とは、ウィキメディア2030戦略方向性を直接、盛り込んだ案件(運動戦略勧告を含みそれに限定されない)、またウィキペディアのあまり研究対象にされなかった言語版に関して研究課題に答える案件とします。
- 申請者の活動地域と相当する機関。ウィキメディアのプロジェクト群に貢献する研究者の地理的分布を多様化しようとしており、中南米、アフリカ、東ヨーロッパ、アジアからぜひ申請するよう呼びかけ、これら地域に特段の配慮をします。
- コミュニティ。ウィキメディアのコミュニティが次の段階へ進めるよう、助けになる企画を助成します。提案書のうちウィキメディアの利用者グループや国・地域別協会の役に立ったり協働したりするものを優先します。申請者の皆さんにはこれらのコミュニティ参加者を1名でも2名でも申請チーム要員に入ってもらい、そのグループから上がっている問題点をチェックするには、コミュニティ要望一覧の2019年、2020年、2021年 実施分をご参照ください。
- 実績として関連の学術分野ならびに/または研究プロジェクトならびに/またはウィキメディアおよびフリーな文化のコミュニティに貢献したかどうか。申請者が自己申告を吟味し、申請者の関心分野や技能、技術を理解したいと考えます。
予算
予算総額の上限は5万アメリカドルとし、今季の助成期間に6件以上の助成予算を確保しています。最初の申請書提出の時には詳細な予算表は不要ですが、以下の分類に関する見積額に短い説明を添えて提出してください(該当する場合)。
- 人件費もしくは外注費
- 福利厚生費
- 備品
- ソフトウェア
- オープンアクセスの公表の費用
- 機関としての管理費(総予算の15%)
- その他(具体的に)
助成金の最終的な総額は、研究基金委員会の裁量に任され、場合によっては最終審査に残った申請者の皆さんに予算の減額と、企画の応分の縮小をお願いすることがあります。助成金の送金は、助成期間の開始時(2023年6月)に一括で処理する予定です。
倫理事項
申請案件は必ず研究の倫理事項※1を遵守し、人間を被験者とする研究の規範とガイドラインに従っていただきます。倫理事項に関する詳細に関して、執筆者の皆さんにメンロー報告書※2の通読を推奨しており、データ共有の倫理は2007年オールマン=パクソンIMC論文※3を、アルゴリズムの査読に関しては2014年サンドヴィク他論文※4をお勧めしています。最終審査に残った場合、皆さんには発生する可能性のある倫理的課題と、その対処策を提案書に記すことが課されます。助成金の送金は、機関審査委員会※5の審査(該当する場合)を完了したのちに実施します 。(訳注:1=倫理事項principles of ethical research。2=メンロー報告書 Menlo Report。3=オールマン=パクソンIMC論文 Allman/Paxson IMC ‘07 paper)。4=2014年サンドヴィク他論文 Sandvig et al. ‘14 paper。5=機関審査委員会 Institutional Review Board。)
研究成果
研究成果に基づき、ウィキメディアのボランティア主体のコミュニティや提携団体あるいは財団自体が行動を起こしたり再利用したりするには、申請者の皆さんは研究成果のどの部分もウィキメディア財団のオープンアクセス方針を遵守するようお願いしています。申請者には予算額に成果をオープンアクセス形態で公開する経費を折り込むようにお薦めしています。
助成金受給者の皆さんには、MetaWiki:Researchというディレクトリに担当プロジェクトのページを立てて、月に1回、進捗状況を文書化していただきます。さらに、プロジェクト完了時にプロジェクト報告書と予算の決算書の提出にあたり、こちらでご用意するテンプレートを使っていただきます。さらに将来、ウィキメディア研究イベントが開催された機会には、それぞれの研究コミュニティを対象に1件以上の研究発表が課されます。
研究基金の審査サイクル
- 申請の公募、申請に関心のある皆さんとの事務局時間
- 申請の審査第1段階には、机上の判断で除外する条件として、基金の趣旨の範囲ではない、要件に適合しない、技術的な審査、コミュニティによる査読、地域基金委員会の審査を受けます
- 審査通過者の皆さんへ申請第2段階のお知らせ
- 第2段階に進んだ提案の技術的な審査
- 最終決定
企画の審査
提出予定の企画
- Programs/Wikimedia Research Fund/Reducing the gender gap in AfD discussions: a semi-supervised learning approach
- Programs/Wikimedia Research Fund/Network perspectives on collective memory processes across the Arabic and English Wikipedias
- Programs/Wikimedia Research Fund/Implications of ChatGPT for knowledge integrity on Wikipedia
- Programs/Wikimedia Research Fund/Measuring the Gender Gap: Attribute-based Class Completeness Estimation
- Programs/Wikimedia Research Fund/Disinformation, Wikimedia and Alternative Content Moderation Models: Possibilities and Challenges (2022-23)
- Programs/Wikimedia Research Fund/A Whole New World - Integration of New Editors into the Serbian Wikipedia Community
- Programs/Wikimedia Research Fund/Mapa de acceso a Internet y uso de proyectos Wikimedia en comunidades indígenas de México
- Programs/Wikimedia Research Fund/The Contribution of Wikipedia Clubs in Strengthening Media and Information Literacy (MIL) Skills among Young People in West Africa
- Programs/Wikimedia Research Fund/Dashboards to understand the organization of social memory about Chileans in Wikipedia. Politicians, scientists, artists, and sportspersons since the 19th century
- Programs/Wikimedia Research Fund/Understanding how Editors Use Machine Translation in Wikipedia: A Case Study in African Languages
- Programs/Wikimedia Research Fund/Codifying Digital Behavior Around the World: A Socio-Legal Study of the Wikimedia Universal Code of Conduct
- Programs/Wikimedia Research Fund/Reliable sources and public policy issues: understanding multisector organisations as sources on Wikipedia and Wikidata
Not funded submissions
事務局時間
申請をご希望の皆さんには、研究基金委員と1対1の面談をお勧めしており、助成金プログラムの詳細や、提案されるつもりの研究がこの事業にどの程度、関連しているか、質問してはいかがでしょうか。英語またはスペイン語の面談はこちらをクリックして、Pablo(パブロ) と打ち合わせ時間を設定願います。予約の際は、提案する研究主題または質問内容を記入してください。プログラムと申請手順に関する質問は、こちらをクリックしてエミリーとお打ち合わせをお願いします。 ご注意:予約にあたりウィキメディア財団外部のサービスを個別にご利用いただきます。Google カレンダーの使用に関する方針の詳細は、Googleの個人情報保護方針をご参照ください。
主要な日程
- 2022年12月16日(現地時間※) — ステージ I 申請書提出の〆切。(訳注:※=現地時間、地球上のどこであっても AOE、Anywhere On Earth)
- 2023年3月
23日 — ステージ I 審査結果の通知。 - 2023年3月31日 — ステージ II 申請書提出の〆切。
- 2023年5月4日 — ステージ II 審査結果の通知。
お問い合わせ
ご質問は research_fund wikimedia.org にお送りください。
運営委員会
助成委員会共同委員長
- Benjamin Mako Hill(ワシントン大学)
- Leila Zia(ウィキメディア財団)
Technical Committee chairs
- Aaron Shaw(ノースウェスタン大学)
- Elena Simperl(キングス・カレッジ・ロンドン)
ワークフロー主任
- Emily Lescak(ウィキメディア財団)