ウィキメディア財団 年次計画/2022-2023/目標
ウィキメディア財団がかかげる2023-2024年予算年度の目的は主に4点です。ウィキメディア運動の戦略方向性ならびに運動戦略勧告に沿うように構成しており、昨年度の予算案で特定した業務の多くを継続します。まとめると以下の各点です。
- 公平性:知識の公義を守る。運動の組織統治と運動憲章を介して意思決定における公平さの確保をさらに強化。運動に力を与えて関与し、地域戦略を支援し、知の格差を埋めるのに役立てる。
- 安全と包摂性:外部の脅威が増えても守る。虚偽情報や有害な政府規制から私たちの仲間とプロジェクトを守る。ボランティアの安全確保に備えるため、運動全体で取り組む。
- 効率化:私たちの全般を強化する。さらに制約されたリソースを使って影響を最大化しようとする私たちのプロセスを評価し反復し取り入れる。
Infrastructure |
Equity |
Safety & Inclusion |
Effectiveness |
目標に向かう進捗状況の測定
私たちの目標に向かう進捗状況を測定するため、来年次にウィキメディア財団が影響を及ぼそうと計画する主な指標にしぼりこんで特定しました。これらの指標は私たちの仕事の目的意識(モチベーション)を高め、正しい方向に進んでいるかどうかを示すシグナルとして機能するはずです。期待した効果が得られない場合は作業を調整し、必要な効果が得られるようにします。
コアな指標の選考には以下の要件を採用します。
- この指標は私たちが目標に向かって正しい方向に進んでいると示すと考えます。
- 当財団は会計年度を通じ、指標に照らして測定可能な影響を出せると信じています。
- 指標の変化を月単位で測定し、必要に応じて会計年度の途中でいつでも軌道修正ができます。
- 年度開始前にベースラインの測定と設定ができます。
重要な測定領域を特定した事例には、科学的または経験から検証された指標を備えていない場合がありました。その場合、会計年度中のワークストリームとして指標の開発と特定を提案しました。以下に、主要な指標領域の測定値とマイルストーンを特定しましたが、より完全な概観を得るため、財団には今後1年をかけて監視するその他のデータポイントが複数あります。
ウィキメディア財団がかかげる2023-2024年予算年度の指標領域は主に4点です。
- コンテンツ:百科事典のコンテンツの品質と信頼性を高める。
- 投稿者:運動の投稿者コミュニティの健全性を改善し維持する。
- 関連性:世界中の幅広い視聴者に関連性と持続可能性を確保する。
効率化:財団の運営方法と規模を改善し、長期的な持続可能性を確保。
コンテンツ:百科事典のコンテンツの品質と信頼性を高める
私たちの使命はフリーな知識を世界中に確実に広めることであり、重要なアクセス方法はプロジェクト群のコンテンツによって提供しています。私たちの運動は信じられないほど大規模な影響を与えており、私たちのコミュニティは何年にもわたってプロジェクト群の内容を改善してきました。実験とパートナー関係を通じて、コミュニティをサポートして品質と信頼性の高いコンテンツ向上に継続的に取り組む効果的な方法を見つけました。私たちが最も影響を与えるであろう言語と地域とトピックの分野はまた、私たちが世界中でフリーな知識の公平性を改善する場でもあります。今年度は中規模のウィキに取り組みボランティアの皆さんと緊密に連携して、質が高く信頼できるコンテンツの拡大に注力します。この指標の対照先は、公平性という最上位の目標です。
測定:中規模のウィキではウィキペディア記事の割合を(性別や地理から始まる)影響力の大きなトピックの領域で増やし、共通の品質基準の達成を目指します。
投稿者:運動の投稿者コミュニティの健全性を改善し維持する
私たちの職員とコミュニティはウィキペディアの成功とグローバルな普及や、コモンズの効率化を可能にしてきましたが、そのコミュニティは持続可能性が危ぶまれるという声が聞こえてきました。財団の信頼安全サービスに加え、ボランティア統治のサポートや大規模な介入を通じてコミュニティの成功と健全性を確保するため、財団は編集者数を増やすなどの役割を引き受けています。コミュニティの心情も追いかけています。具体的にはコミュニティ参加者がウィキメディアの活動をどれほど楽しんでいるか、私たちの運動を今後も続けるつもりかを追跡します。また財団から的を絞ったサポートを提供する貢献者の責任ある関与についても掘り下げ、主催者やウィキ上の管理者、技術貢献者などが該当します。この指標は財団の目標の最高位にあるインフラおよび安全と包摂性に対応しています。
測定:当年は編集者のうち確立した人々に注目しますが(拡張された権限を預かる管理者やスチュワード、パトロール係やあらゆる種類の調停者など役務者とも呼ばれる人々)、今年の焦点を適切に反映した指標、コアな指標の選択に課された制約に合致する指標はまだ確立していません。代わりにマイルストーンに基づく目標を提案します。2024年1月1日までに、指標を少なくとも1つ提供するとお約束します。
マイルストーン基準の目標:四半期ごとに重要な介入を1件提供して、これらの貢献者グループに対処します。
関連性:世界中の幅広い視聴者に関連性と持続可能性を確保する
世界中の人々がフリーな知識を見つけ、学び、共有するリソースこそウィキペディアです。私たちは読者数やライセンス・フリーのコンテンツの再利用、さらに幅広い運動の目的を維持する資金調達能力に基づいて、私たちの仕事の成功を部分的に判断します。フリーな知識の運動は複数の課題に直面しており、読者の習慣の変化、広告主導の検索エンジンに読者を中抜きされること、SNSのプラットフォームが成長して文章やオープン・ウェブの代わりに動画やメーリングリスト主体のお勧めアルゴリズムを使って視聴者を引き付けているなどです。これらの課題に直面するには複数の面で新しい考え方が必要で – 資金調達、新しい視聴者の発見、変化する世界との創造的な関わりなどが肝心です。この指標は、私たちの目標の最高位であるインフラに対応します。
測定値:ウィキペディアの対象とする言語と地域では、固有のデバイスの数を増やします。
効率化:財団の運営方法と規模を改善し、長期的な持続可能性を確保。
財団の効率性の目安となる指標は、技術上の負債率(経費率)を選びました。ここで言う技術上の負債率とは一般に用いる明確に定義された財務責任の指標であり、Charity Navigator などの外部サービスが非営利団体の有効性評価に採用しています。私たちが IRS に提出した書式990号に公開した情報に基づく指標です。この有効性の尺度は、財団が当部門の主要なリソースのトレードオフ(trade-off)とそれに関連する財務責任への影響を測る適切な評価指標を確立するとともに、トレードオフを利害関係者に伝えるため、定義した指標を役立てます。ここでいう指標は、最上位の目標効率性 にマッピングされます。
測定:プログラム経費を77%に増やす予定です。