ウィキメディア財団 年次計画/2022-2023/草案
“”運動戦略の物語の中心は「人」です。2030年までに自由な知識のエコシステムの重要なインフラとなる、という野心的な戦略方針を掲げました。このビジョンを共有する誰もが参加できるように、知識の公平性とサービスとしての知識を目指しています。
目指すこと
新年度の財団の年次計画は、「知識の平等」と「サービスとしての知識」という目標を中心に、「運動戦略」の方向性に軸足を置きます。 計画プロセスは、昨年末、世界と運動が今何を必要としているかを理解するためのリスニング・ツアーから始まりました。これは、2022年1月から3月にかけて、財団のリーダーと職員が、ウィキメディアのプロジェクト、地域、言語コミュニティ、聴衆に渡る組織の現在の資源配分を理解するための作業につながりました。内側だけでなく外側を見ること、財団からの一方的な情報共有だけでなく、運動との双方向の計画を想像しようとすること、異なるチームが互いにばらばらになるのではなく、財団自身の調整を改善することなどを考えました。
新年度は、新しいプロジェクトやイニシアチブなど長いリストを開発するよりも、仕事のやり方を根本的に変えることにもっと集中することにしました。変更されたアプローチは、現在行われていることの包括的なリストとして機能しないということです。ある分野では改善し、別の分野では中止し、あるいは既存のリソースをより重要な優先事項に再配分しながら、現在の仕事の多くは継続されます。新年度は、コンテンツの変化というよりも、メンタルモデルの変化が重要な年になるでしょう。あるものは減らし、あるものは増やすというように、行っていることを根本的に変える必要があるのは事実ですが、現在の仕事のやり方をより強固なものにしなければなりません。
これからの1年間は、4つの組織目標を掲げて前進していきます。最初の二つは、知識の平等とサービスとしての知識を促進するという運動の野心的な戦略的方向性に焦点を当てたものです。次の二つは、運動の組織統治と健全性、財団の業績と有効性を向上させるという内部的な働きに重点を置いたものです。
2022-2023年のウィキメディア財団の目標
- 知識の平等を推進させる 集団的活動に、より強い地域的な焦点を置くことです。
- ウィキメディア・コモンズとウィキデータを始めとする740以上のウィキメディア・プロジェクトに対する製品と技術サポートの優先順位付けと割り当て方法を強化することによって、サービスとしての知識への取り組みを深めることができます。
- 運動憲章、ユニバーサル行動規範、運動戦略の実施などの重要な優先事項を支援することにより、運動の統治と健全性を強化します。
- 財団の業績と有効性を向上させる ために、翻訳/通訳サポートを改善し、その影響を評価するためのより有意義な指標の引き上げ、真のグローバルな作業環境をサポートする共通サービスの設計を行います。
また、運動主体(個人・提携団体)の関心を理解し、しようとすることを共有するだけでなく、他の人たちの計画も聞いて、双方向の計画を立てます。誰が興味を示すのか、共通の関心や優先事項を特定するためにどのようなアプローチが最も効果的なのかを確認します。
アプローチ
世界中のあらゆる組織や団体が、「計画」に対する哲学、アプローチ、そして一連の経験を有しています。あるものは、計画を立てすぎ、十分に反復していません。また、十分に計画を立てず、実行に苦労しているところもあります。「計画」に関する本、記事、ウェブサイト、ビデオは何千とあります。最終的には、どのようなフレームワークを使用するかにかかわらず、計画は、向かう方向を知ることと、目標を達成したり、野心的な目標に近づいたりするために人、過程、システムを前進させることのバランスを取る必要があります。
同様に、財団は過去に様々な計画アプローチを採用し、その時々の状況やリーダーシップ、必要性に応じてきました。新年度、財団中期計画の最終年度から、運動と世界の必要性に対応し続ける将来の枠組みへと移行する方法を試行します。
これは、年間計画を運動の戦略的方向性に固定する意志に始まります。そのためには、全員が主要な概念とその意味を熟慮しなければなりません。「サービスとしての知識」とはどういう意味でしょうか?「知識の公平性」とはどのようなものでしょうか?この戦略的方向性は、現在および将来の作業やコミュニケーションにどのように反映されるのでしょうか。
ウィキメディア財団は過去3年間で非常に急速に成長しました。2020年以降、200人以上の新しい人々が加わり、予算はこの1年間で30%以上増加しました。このようなことは続きません。2022-2023年度は、成長を安定させるとともに、新しい資源で最大の効果を発揮させなければなりません。2022-2023年度の予算は17%の増加を見込んでいますが、そのほとんどはインフレやその他の対前年度比で発生するコストに当てられます。他の運動団体(個人および提携団体)への資金提供は、来年度、少なくとも同じ17%、あるいはそれ以上増加する予定です。財団自身の予算の大部分は人件費に割り当てられているため、最も重要なリソースの決定は、職員とチームの時間と業績に関するものとなります。
Wikiの精神に基づき、計画案は長文のテキスト文書として提示されます。コミュニティ、理事会、職員に多言語でウィキ上で共有され、意見と改善の要請がなされる予定です。この形式により、スライドやスプレッドシートだけでは難しい複雑さやニュアンスを伝えながら、実質やアイデアについてより多くの方が(そして多言語で)参加できるようになることを期待しています。
以下に、新年度の活動の指針となるテーマ別分野を挙げました。いくつかの分野では、解決策を提案するチャレンジを説明し、他の分野では、財団内だけでなく、コミュニティや世界との新しい活動方法のための具体的な出発点を提供する実験を定義しています。新年度、計画や仕事のやり方を導き、変えていくための効果的なアプローチに焦点を合わせています。