ウィキメディア概報 (2012年2月)

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2012年2月のウィキメディア財団報告書及びウィキメディア技報抄録ほかウィキメディア運動の重要行事について

ウィキメディア財団概報

法務・共同体弁護業務担当部署が創設

法務・共同体弁護グループの新設を、発表しました。共同体との協議は進行中であり、すべては議論中の段階であり、部門の名称も決定していない段階です。共同体をどのように支援することができるか、ブレインストーミング中ですので、ご協力ください。管理者や用務員を援護するにはどうしたらいいか、非英語参加者がウィキメディア財団の企画(方針群や鍵となる事業)に参加するのを促進するにはどうしたらいいか、といった観点からのご協力をお願いします。

茶店プロジェクト始まる

 
「茶店」の標章

2月27日、ウィキペディア英語版の新人編集者専用にあつらえられた互助の場・Teahouse(茶店)が始まりました。この予行事業では、新人編集者への社会的な接し方をいろいろ試みます。特に女性編集者と新人編集者の定着率を高められるかどうかを見ます。ここに集まった「hosts」(店主)と呼ばれるウィキペディアンは、善意の新人編集者と接触し、彼らが他の新人編集者やベテランのウィキペディアンに会え、人脈を築き、参画する事業を見つけ、ウィキペディアについて質問することのできる場へ招きます。この予行は、研修済みの店主25人により、3ヶ月間行われる予定です。本事業を通し、共同体や新人編集者と協働することで、経験を積み、この取り組みの影響を量ります。

MediaWiki 1.19が配備

MediaWikiソフトウェアのバージョン1.19が2月、ウィキメディアのサイト群に適用されました。多くの新機能とバグ修正が含まれています。バックエンド(縁の下で一般には見えない部分)の修正も含まれており、例えば、メディア保管庫の出入口をSwiftに移転するための環境基盤整備などが施されています。もちろん、目に見える進化もあります。差分の可読性を高める配色の改善や、利用者の性別や言語に対するインターフェース対応の改善(国際化)が挙げられます。

2012年3月1日に行われたウィキメディア財団の月例指標・活動会議(2月期)の動画

データと傾向

1月の全世界純訪問者数:

4億8200万人 (12月比5.5%増、前年比16.5%増)
(ウィキメディア財団全事業のcomScoreの数値。2月の数値は翌3月にcomScoreから発表される)

2月の閲覧要求回数:

181億回 (1月比0.5%増、前年比16.2%増)
(携帯情報端末による接続を含む、ウィキメディア財団全事業。サーバー記録)

2012年1月の活動中の登録編集者数(月間編集回数5回以上):

88,548人 (12月比6.7%増、前年比3.2%減)
(ウィキメディア・コモンズを除くウィキメディア財団全事業。データベース数値)

2012年1月の通知表: http://stats.wikimedia.org/reportcard/RC_2012_01_detailed.html

通知表をより多機能な計器板(ウィキメディア財団事業に関する様々な集計値や趨勢をまとめたもの)にするための再設計が進行中。

財務

(決算情報は、本報告の2012年1月時点)

次の決算情報は全て、2011年7月1日~2012年1月31日期のもの。

収入: 2940万ドル

支出:

  • 技術費: 572万105ドル
  • 共同体・募金活動費: 282万8009ドル
  • 全世界展開費: 245万9774ドル
  • 統制費: 53万5925ドル
  • 財務・法務・人事・運営費: 337万5754ドル

支出計: 1491万9567ドル

総利益(括弧は損失): 1445万5334ドル

収入は、当月は予算130万ドルに対し実績380万ドルと、予算を178%ほど上回りました。今年度累計は予算2440万ドルに対し実績2940万ドルと、予算を21%ほど上回りました。

支出は、当月は予算250万ドルに対し実績210万ドルと、予算を16%ほど下回りました。今年度累計は予算1670万ドルに対し実績1490万ドルと、予算を11%ほど下回りました。

当月の支出減は、固定資産投資の時期(16万ドル。予算12ヶ月均等配分)、人件費(17万ドル)、職員雇用の時期で決まる求人費(17万6000ドル)、賞金・助成金(4万5000ドル。予算12ヶ月均等配分)、ボランティア振興費(2万8000ドル)によるものです。銀行手数料の増額(4万2000ドル)と専門的役務の増額(16万8000ドル)を差し引き、総額で支出減となっています。

今年度累計の支出減は、固定資産投資の時期(110万ドル。予算12ヶ月均等配分)、インターネット・サーバー賃借料(5万ドル)、ボランティア振興費(16万9000ドル)、旅費及び会議費(25万1000ドル)、人件費(75万4000ドル)、求人費(30万ドル)、情報技術事務用品(8万9000ドル)によるものです。賞金・助成金(21万7000ドル。予算12ヶ月均等配分)、弁護士・税理士費用(5万8000ドル)、専門的役務(45万8000ドル)、銀行手数料(29万ドル)の増額を差し引き、総計で支出減となっています。

現金は3260万ドル。現在の支出水準にして15ヶ月分、年次計画の14ヶ月分。

その他の活動概報

 
財務会談での非公式会合

地区会と財団が財務協議

2月17日から同19日にかけて、19の運動団体(ウィキメディア地区会とAmical)と財団職員と理事会から計39名の使節がパリに集まり、募金活動と基金分配について協議しました。会議の主催と促進は、ウィキメディアフランス地区会によるものでした。非公式な共同声明がまとめられ、信頼と理解がより進んだことや、地区会協議会の必要性が報告されました。

 
「ACTA」反対デモにおけるウィキメディアン達(セルビア)

ウィキメディアンが「ACTA」を懸念

1月、ウィキペディア英語版の暗転が決行されました(米国の海賊行為防止法案であるSOPAとPIPAに対する共同体の効果的な抗議)。この後、欧州のいくつかの国のウィキメディアンが、模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)への反対を主張しています。ACTAは、知的財産の義務付けに関する国際条約で、目下物議を醸しているものです。ベルリンでの集会で、ウィキメディアドイツ地区会の代議員が、自由な知識の擁護者として短い声明を発表し、著作権の改革の必要性を訴えました。財団の法務・共同体弁護部門は、ACTAの準備分析に関する職務を継続しています。

ドイツの「共同体事業予算」結果公表

ドイツ地区会の第2回「共同体事業予算」の結果が発表されました。編集共同体から選ばれた委員会が、20万ユーロの割り当てを決定しました。提案された62のアイデアの中から次の6事業が選ばれ、計12万3420ユーロが割り当てられます。専門家の手によりウィキメディア・コモンズの動画を充実させる「ウィキテレビ(Wiki-TV)」、自由な地図に関する3事業、専門家による調停で編集者間のいさかいを解決できるか検討する事業、ウィキペディアと学術雑誌の共同制作を促す「ウィキジャーナル(WikiJournal)」です。