ウィキメディア財団、児童の権利への影響評価

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アーティクルワン(ArticleOne) – WMF 児童の権利影響調査 – 序文 + 概論(英語)。
アーティクルワン(ArticleOne) – WMF 児童の権利影響調査 – 序文 + 概論(フランス語)。 オンウィキでも閲覧可能。
アーティクルワン(ArticleOne) – WMF 児童の権利影響調査 – 序文 + 概論(スペイン語)。 オンウィキでも閲覧可能。

はじめに

この報告書(略号CRIA)は「児童の権利への影響評価」(※1)を主題として2022年に財団が委託し、ウィキペディアを含むウィキメディアのプロジェクト群(※2)を閲覧したり参加する児童を対象に、影響、リスク、機会の理解に供するものです。完成版は2023年に提出を受けました。公表は2024年1月のことです。(※1= Child Rights Impact Assessment。※2=Wikimedia project。)

CRIA 報告書作成にあたり、ウィキメディア財団(以下「財団」)の委託先はアーティクルワン(Article One=以下「ア社」)という戦略・経営専門コンサルタント会社で、人権や責任ある発明や持続可能性の専門知識を備えています。この報告書にはア社の調査結果をまとめてあり、より広範なウィキメディア運動と財団に向けて児童の権利保護とその維持に際して検討するべき事項を推奨し、既存の方針と取り組み方を強化するか、どう考慮するか述べています。

2024年1月に当 CRIA 報告書を公表したウィキメディア財団は、人権に関して適切な注意喚起を継続的に進める取り組みを実際に示すこと、また人権方針のまとめに準拠して、この取り組みに関する報告の公開という公約を果たしました。今回の出版の要点は、当報告書が(訳注:児童の権利保護の)課題と機会を特定し、ウィキメディア運動はその理解を深めるために役立てること、私たちが取り組むプロジェクト群でどう実施するか方法をめぐる対話を続けること、そしてウィキメディアンとして実際に子供たちを守り続けることです。ウィキメディアのコミュニティにとって、この報告書が何を意味するか、詳しくは公式ブログのディフ(Diff)の記事をご一読ください。

今回の児童の権利への影響評価について

この「児童の権利への影響評価」すなわちCRIAは、私たちの人権方針に明記したとおりウィキメディアンの皆さんと人権を擁護する当財団の長期取り組みにおいて重点となります。これは組織全体の2020年版人権影響評価(略号HRIA)(※)に準拠し、児童の権利に対するリスクは財団とウィキメディアのコミュニティが直面する重大な人権リスク5種の1つとして特定しています。HRIA の勧告事項により、児童の権利に関わるリスクをより深く把握するよう、財団は的を絞った評価を行うべきとされました。(※=Human Rights Impact Assessment)。

2022年と2023年に実施した当CRIA(児童の権利への影響評価)は、前述の戦略および管理専門のコンサルタント機関アーティクルワン(Article One)が行ったものです。財団は2023年3月に受領しました。当評価の趣旨とは、ウィキメディアのプロジェクト群にアクセスし参加する子供たちに及ぼす影響とリスクおよび機会の特定であり分析としました。その趣旨に従って示された勧告事項とは、これらのリスク軽減のためにウィキメディアのコミュニティと当財団が具体的にどんな実践をするべきかであり、その結果、プロジェクトに参加する子どもたちが得るであろう恩恵を最大に広げることが期待されます。

この評価をまとめるにあたり、財団職員やボランティアの皆さん、ウィキメディアのプロジェクト群を利用する若者、財団の提携団体およびこの分野に詳しい外部の専門家の皆さんに相談しました。対象にはウィキメディアのプロジェクト参加当初は未成年だった人で成人後も関与を続けた利用者が含まれ、どのような活動から児童に特化したリスクや機会について固有の視点を得たか聞き取りました。

CRIA報告書がまとまった段階で査読したアーティクルワンと財団は協力し、報告書の公開に先立ち財団内部で報告書を包括的に評価することにしました。当 CRIA 報告書は原本を調整した編集版であることをお断りしておきます。聞き取った内容や事例の中には詳細すぎたため、無編集で公開しては複数の人に危険を及ぼす、あるいは悪意の関与者にみすみす実害を及ぼす手順を開示する恐れがありました。リスクのある内容に手を加えたり個人が特定できないように努めました。被害の危険性を低減しようにも内容の改訂あるいは一般的な状況への置き換えができなかった事例は、削除してあります。

この報告書の構成は?

この報告書には以下の内容を含みます。

  • 序文にはCRIAに関する文脈を少し展開し、受託の理由、財団が報告書を受領して示した評価を紹介してください。
  • 報告書の概要として、趣旨と方法論と発見のまとめ、さらに報告書の勧告事項を提示;
  • A detailed analysis of the findings of the report regarding risks and opportunities facing children on Wikimedia projects, broken down according to three categories of groups of children: volunteers, children who participate in in-person events hosted by Wikimedia chapters, and members of the general public who may passively visit or read Wikimedia projects; and
  • A series of recommendations for the Wikimedia movement to respond to the risks identified.

当報告書は序文と要旨をフランス語とスペイン語に翻訳し、その影響力と閲覧しやすさを高めようとしてあります。これら文面は PDF 形式で読めるほか(このページ内にリンクあり)、この報告書の下位ページに置いて翻訳指定が済んでいるので、他の言語コミュニティで翻訳もできます。財団がフランス語とスペイン語を優先する根拠とは話者が世界に広がっている点はもちろん、これら言語圏の国々では今後数ヵ月から数年先に法律改定が見込まれる点、すると青少年が2言語のどちらかの話者だった場合にウィキメディアのプロジェクト群を閲覧したくても影響を受けそうである点に基づきました。

報告書を受領した財団は何にどう取り組んで、報告書の調査結果と勧告に応えようとしてきたのですか?

報告書には運動のさまざまな利害関係者に関わってくる推奨事項をまとめてあります。中にはコミュニティ内の手順でなければ実施できない推奨事項もありますが、ほかに財団とコミュニティがパートナーとして取り組むもの、さらに財団が検討するべきものもあります。2023年3月にこの報告書「CRIA」が完成し、財団各部署は団結してじっくり取り組み、報告書で自分たちの掌握範囲に含まれる勧告に対応してきました。左記の作業は、次の各点を含んでいます。

  • 児童保護方針の最終決定として、一連のガイドラインと手順を取りまとめて、コミュニティや一般の人々から有効な苦情を受けたり法律で義務付けられた場合、またはウィキメディアのプロジェクト群に載ったコンテンツの変更または削除の場合、さらに特定の個人の措置に関する場合に用います。ここでいう方針(policy)とは当報告書の発行後、数日以内に発行されます。
  • Providing actionable, easy-to-understand recommendations in the child protection policy for children to protect themselves and their privacy on Wikipedia, including an email address to contact to express concerns;
  • Continuing the development of the Incident Reporting System, which will provide users, including children, with streamlined reporting of and processing mechanisms for harassment and other inappropriate behaviors on Wikimedia projects;
  • Including child rights considerations in recent reviews of grant applications. These are now being formalized into a set of standardized criteria that will be published and incorporated into grant application review processes;
  • Starting to identify and document activities and initiatives occurring within Wikimedia communities that strive to empower and protect children, so that we can identify future partners for addressing key recommendations in the report. If you are working on such issues, please let us know about your efforts by emailing us. More details on this below;
  • Enhancing the structure and governance of the Foundation’s Human Rights Steering Committee so that it is able to better carry out and implement the findings of human rights due diligence efforts, including this CRIA;
  • Designating a current staff member with the relevant experience and expertise to lead child safeguarding efforts within the Foundation’s Trust and Safety team.

今後の展望(2024年1月)

重要なのは、当CRIA報告書に含まれた勧告の実施は長期的な努力を求められる点、勧告はすべてがすべて実行可能ではない点を認識することです。財団は引き続き上述の作業を進めており、当CRIAが示した高次の勧告をいくつかでも実現しようと、その業務に反映しています。そうは申しながら、この報告書の示す勧告には子どもの権利に関して継続的に検討して取り組むには、ボランティアのコミュニティと財団とが今よりも緊密に協力する機会をもたらすものがあります。以下にその機会の一部を記します。

  • 苦情受付と通報の仕組みを児童向けに開発することは、内部の職員の適切な配置、リソースの確保、苦情処理を扱う内部の仕組みの整備を伴います。,
  • 児童の声を採り入れて財団における児童擁護ならびに設計方針の姿勢に反映します。( Design Principles。)
  • 児童をエンパワーしてオンラインで自分を守る力を高めるため、児童が利用しやすいリソースやツールを整えます。
  • 積極的かつ権利と両立する取り組み方の開発により政府の規制に対応して、子どもの権利に影響を及ぼします。

勧告事項はその他にもありますが、ウィキメディアのボランティアの皆さんや提携団体の主導による検討が求められ、例えば、運動戦略にもっと広範に波及するものや組織統治に関することなどがあります。具体的にあげるなら、提携団体の参加者やボランティアの皆さんに児童の権利という観点からウィキメディア2030運動戦略の勧告を評価検討し推進を考えることが含まれます。

財団は児童の安全を守るという話題について2024年以降、ボランティアや提携団体の皆さんからウィキメディア運動で従来から行われてきた関連の活動の話を聞く機会を探して場を作り、また上記で明らかになった課題をめぐり、コミュニティと財団がどのように協力して機会に対処できるか対話を継続します。

この報告書のフィードバックを投稿したり、私のコミュニティと未成年の取り組みを財団に知らせたいんですけど?

私たちはこの報告書に関して、ボランティアや関係者の皆さんには質問やフィードバックがあること、また報告書の推奨事項はすべてがすべて実現可能ではないことを認めます。ボランティアや提携団体その他の運動関係者の皆さんからフィードバックや協議を歓迎しており、優先するのはどの推奨事項か、ウィキメディアのプロジェクト群とウィキメディア運動のより広い範囲に利をもたらすものを選ぶ必要があります。

財団ではボランティアの皆さんが事前に報告書を一読して感想をまとめる時間を確保してから、一連の対話の時間を2月に設けて、この報告書がもたらした発見と推奨事項を協議する場をコミュニティの皆さんと囲む予定です。この報告書をめぐり、以下の日時に登録して協議にご参加ください。

時)] 財団ではボランティア参加者5名以上から希望のあった言語に関して、同時通訳の手配をする予定です。通訳の希望はどの言語か明示して、メールにて youthsurvey@wikimedia.org に連絡願います。

この報告書をめぐる協議、質問の投稿先は当ページの議論ページをご活用ください。

その傍ら、財団のグローバル権利擁護チームではボランティアの皆さんに連絡する準備として、ウィキメディア運動内でどのような対策が進んでいるか特定し記録しており、児童を対象とした皆さんの活動の詳細を学び、教訓や最前手法を特定し、やがては児童保護に関する将来の取り組みに導入できるように働いています。ウィキメディアのプロジェクト群で活動する皆さんの中に、現在、若者支援やエンパワー、あるいは保護する立場にある人がおられて、ご自分たちの活動を財団に伝えたいとご希望であれば、 youthsurvey@wikimedia.org 宛にメールにてご連絡をお願いし、その文面には皆さんの取り組み、どのコミュニティに活動の焦点を当てているか、より詳細な情報はウィキ上でどこを参照すると良いか、ご説明くださると幸いです。教わった内容を当チームで一覧化してメタの当ページに公開する予定で、ウィキメディア運動の各所で進む児童の権利擁護の取り組みを見回せるように、対話と連携が促されるように準備を整えます。

You can view a summary of the Child Rights Impact Assessment Report via this YouTube video.